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《原因不明まひ、26都府県で66人 6歳以下が6割超》(1月20日付朝日新聞デジタル)。1月19〜20日にかけて、新聞やニュースサイトでこのようなショッキングな見出しが躍った。国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子さんが経緯と現状を解説する。

 

「’15年の9月、ポリオ様まひや、小児科の専門病院でもめったに見られない急性弛緩性脊髄炎などを含む急性弛緩性まひ(四肢がだらんとして動かなくなる状態)の報告が、全国から立て続けに入りました。例年、一定数は起こる症状ですが、昨秋は明らかに多く、異変を感じて全国的に調査を始めました」

 

同研究所は、’15年8月1日から12月31日までに「急性弛緩性まひを認めて、24時間以上、入院した症例」を全国調査。今回報道されたのは、12月3日までの中間集計の結果だ。

 

「66人というのは、あくまでも12月3日時点の数字。同月31日までの集計次第では、さらに増える可能性があります。現段階では、患者の年齢は0歳から56歳までと幅広いですが、年齢の中央値は4歳。患者の多くは小児です」

 

原因は不明だが、福岡市立こども病院の小児神経科専門医・吉良龍太郎さんは、次のような指摘をする。

 

「’14年の秋、米国でも同じ状況が起きています。そのときまひを起こした患者の一部からは、呼吸器疾患を起こすエンテロウイルスD68型が検出されています」

 

国立感染症研究所のウェブサイトによると、’14年8月中旬から’15年1月15日にかけて、米国では同ウイルスが原因と疑われる呼吸器疾患が1,153例報告された。さらに14人が死亡したという、別の研究レポートもあった。

 

「日本でも流行し、’10年に山形県で、’13年に広島県で、それぞれ1例ずつ、同ウイルスが検出された患者が急性弛緩性まひを起こしています。しかし今回のように、多くの患者が同時期に報告されたのは初めてだと思われます」(同前)

 

また、ある日突然起きられなくなる小児慢性疲労症候群も急増している。

 

「小中学生の0.2〜2.3%が、小児慢性疲労症候群(以下CCFS)だといわれています。1〜2クラスに1人はいる計算です」

 

そう警鐘を鳴らすのは、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター上級研究員の、水野敬さんだ。睡眠障害、軽作業でも激しい疲労を感じる、集中力の低下、物忘れ、頭痛、めまいや立ちくらみなどの自律神経の乱れ……。これらが3カ月続く場合、CCFSが疑われるという。

 

「重症になると、通常の社会生活を送ることも困難になります。じつは不登校の子供たちの60〜80%が、CCFSの症状と重なります」(水野さん・以下同)

 

引き金となるのは、おもに生活リズムの乱れから引き起こされる、慢性的な睡眠の量・質の低下だそう。

 

「中学生には8〜9時間の睡眠を推奨していますが、現状の平均睡眠時間は7時間30分ほどです。さらにスマホの画面から発せられる光の刺激が脳に影響し、睡眠の質も落ちてしまうのです」

 

長時間にわたって睡眠時間が削られ、ある日、その揺り戻しが起こることも。

 

「1日10時間も眠り続けるような“過眠型”の睡眠に変わってしまい、朝、起きられなくなる。そうなって家族も初めて『おかしい』と感じるようです」

 

親は、そうした兆候を見ても『だらしない』『なまけている』と片付けてしまいがち。しかし、むしろそれは逆だ。

 

「CCFSの子供たちはがんばりすぎて、脳が疲労している状態。そこに親のプレッシャーがかかると、さらにがんばろうと脳がオーバーワークになってしまいます。苦しみを理解してくれない親の言動に悩む小児患者も多いです」

 

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