つらい治療、痛い注射、苦い薬、家族と離ればなれ……。そんな不安の中、入院し闘病を続ける子供たちを訪ねる『ホスピタル・クラウン』がいる。“クラウンK”こと大棟耕介さん(44)だ。

 

名古屋赤十字病院小児病棟のプレイルームで、180センチの巨体を縮め子供の輪に交じる大棟さん。“仲間”になれたら、あとはお手のもの。バルーンアートや皿回しのパフォーマンスを披露すると、闘病中の子供たちの瞳はキラキラと輝き、とぼけた会話に、ふだん静かな小児病棟は笑いに包まれた。

 

大棟さんは、’04年から『ホスピタル・クラウン』を続けている。

 

「僕は病気の子供にパフォーマンスしているつもりはないんです。それをしている場所がたまたま病院なだけ。笑わしてやろう、というよりも、友達に会いに行く感覚」(大棟さん・以下同)

 

現場が続き、疲れているときもあるが、「友達が待っているから行くんです」と大棟さんは話す。

 

「仕事だと思ったらヘトヘトになっちゃうけど、僕が楽しみたいだけだから、みんなに会うと楽しいし。その気持ちが子供たちに伝わり、家族、そして看護師さんたちに伝わっていく。“笑い”も同じで伝播していくもの。一瞬でも、病棟の空気が変わったのなら、それだけで僕はうれしいんです」

 

病棟をあとにするとき、恥ずかしそうに「また来てね」と声をかける輪の外で見ていた5歳の男の子に対し、大棟さんは今日一番の笑顔で「うん、また遊ぼう!」と応えていた。

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