想像だにしていなかったコロナ禍で私たちの「常識」はことごとく変わってきましたが、お金だって例外ではありません。新しい時代の「お金の常識」をしっかり身につけて、来年こそお金を貯めよう!
「コロナ前は当たり前だったお金の使い方が、ウィズコロナの時代にはそうではなくなるなど、お金にかかわる価値観がガラッと変わりました。こんなときだからこそ、変化に対応して“負けない家計”を作りましょう。今は生活がキツいかもしれませんが、できることはたくさんあるはずです」
そう話すのは、『こんな時代でもラクラク貯金ができる! ○×でわかるお金の正解』(KADOKAWA)の著者で、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。
家計管理において、見直し効果が絶大な固定費が「保険料」。多くの人が不必要な民間保険に入りすぎているので、保障の内容を少し見直すだけで、大幅なコストカットが実現できる。
「将来が不安だからといって、医療、死亡、貯蓄目的の保険にすべて加入している人をよく見かけます。すべての保険が無駄というわけではありませんが、必要な保障をきちんと見極め、なるべく少ない金額で不測の事態に備えることが大切です」(横山さん・以下同)
まず、保険には生命保険と損害保険の2種類があることを確認しておこう。生命保険は人を対象とするもので、損害保険は車や家などを補償の対象とする。“入りすぎ”なのは、生命保険のほう。
生命保険には、入院時に日額1万円などの保障が出る「医療保険」、自分の死後に葬式の費用を補ったり、遺族の生活費に充てたりする「死亡保険」のほか、「個人年金保険」や「養老保険」といった貯蓄目的の保険があるが、見直すべきものはたくさんある。
「子どもたちが独立している読者世代であれば、死亡保険は不要です。自分たちのお葬式代やお墓代、死後の手続きにかかるお金は現金で300万~500万円程度用意しておけば安心できます。また、病気が怖いのでがんの先進医療など特約をたくさんつけたいと思う人も多いのですが、医療保険に加入する前に国の『健康保険制度』や『介護保険制度』をよく理解しておけば、ほんとうに必要な保険が見えてくるはずです」
健康保険に加入していれば、医療費の自己負担は1~3割。さらに、入院や手術をした際、1カ月の医療費が規定の上限額を超えたときに、差額が払い戻される「高額療養費制度」も使える。この制度は年齢や収入で上限額が定められていて、たとえば69歳以下で年収約370万円未満の人なら、1カ月で5万7,600円を超えた分の医療費は戻ってくる計算に。仮に3カ月入院したとしても、自己負担は約17万3,000円なので、医療保険の保険料を払い続けるよりも、その分を現金で持っていたほうがいい場合がほとんど。
また、掛け捨ての保険は損した気がするからといって、貯蓄型の保険に入るのはおすすめできないともいう。
「貯蓄型の保険は保険料が高いのと、払込み期間中に解約すると、解約返還金が払込保険料を下回る可能性が高いので、その保険料を投資にまわしたほうが、効率がよいでしょう。要介護状態になったら一時金がもらえるといったような介護保険もありますが、保険料が高いのでおすすめしていません」
ショッピングモールなどにある「無料相談所」は、手数料の高い保険をすすめてくることもある。有料の相談所のほうが、中立な立場から、的確にアドバイスをしてくれるという。
「加入している保険をそのままにしておかないで、無駄な特約はついていないか、保障内容をもう一度見直してみましょう。ただし、無料の相談所は必ずしも相談者が望むタイプではなく、彼らが売りたい保険を提案してくることも多いので要注意です」
【これまでの常識】
・将来が不安だから民間の保険も必須
・がんや脳卒中などの特約は欠かせない
・掛け捨ての保険は損した気がする
・保険の見直しには無料相談を活用
【これからの新常識】
・ほんとうに必要な保険を見極める
・公的保険制度をフル活用する
・掛け金の積み立て部分は投資に回す
・中立な立場の有料相談所で相談する
毎月たった500円の特約でも、年間にすれば6,000円。30年なら18万円に。保険を見直して、きっちり貯蓄にまわしておこう。