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「安倍晋三首相は北朝鮮との外交を、圧力から“前提条件なしでの対話”に方針転換をしましたが、永田町では、すでに北朝鮮との首脳会談実現に向けて、水面下で動いているという話も出ています」(政治部記者)

 

5月6日、金正恩朝鮮労働党委員長と首脳会談実現に向けて、それまで使っていた「圧力」という言葉を引っ込めて、“無条件対話”を呼びかけた安倍首相。さらに、5月27日には、来日したトランプ米国大統領と拉致被害者家族との面会を演出するなど、拉致問題解決に向けて活発な動きを見せている。

 

「選挙前に、安倍さんが平壌に電撃訪問するというシナリオが囁かれています。金正恩委員長と会い、最低でも政府認定拉致被害者の12人の安否確認だけははっきりさせるのではないかと。『会って話をしました』だけで、手ぶらで帰ってきたら、国民から『何しに行ったんだ!』と反発を食らうことになる。大きなリスクを伴うので、結果ありきでしか、安倍首相は金委員長と会うことはないでしょう。いま、その交渉を水面下で行っているということでしょう」(自民党関係者)

 

だが、一方で安倍首相の“アピール”に過ぎないという冷ややかな見方も存在する。10月には消費税増税を予定しているのに加え、北方領土問題でのロシアとの交渉は暗礁に乗り上げた。衆参ダブル選挙も噂されている中、「国民に対しインパクトを与えるカードは拉致問題しか残っていない」(前出・政治部記者)というのだ。政府関係者はこう言い切る。

 

「現在、北京にある日朝両国の大使館ルートで交渉しているのは間違いない。いま、関係者の間で言われている日朝交渉の落としどころは、北朝鮮が“横田めぐみさんの生存確認も含めて12人の再調査をする”という内容。拉致被害者を日本に帰しはしないが、消息について調べる。つまり、北朝鮮が取っていた“すでに解決済み”というスタンスを下げさせる。結局、安倍政権の延命のための策にすぎないのです」

 

さらに、別の政府関係者はこう語る。

 

「いま囁かれているウルトラCは、次にトランプ大統領が金委員長と第三国で会うときにトランプ大統領の仲介で安倍首相も同席するというシナリオ。安倍首相は1人で会うとは言っていませんからね。実現しなくても7月の参院選挙までにそういうことを匂わせるようなことはするかもしれません。今のところ拉致問題で解決するネタはない。ただし、『解決に向かって先導できるのは私だけ』と見せられれば、それだけでいいと思っている。安倍首相という人物は絶対論で話すのではなく、相対論で話す人。『あの悪夢の民主党政権に戻していいんですか?』と、よく発言しますが、今が絶対いいとは言わない。『以前よりはましでしょ?』と、何でもそういう感じです。拉致問題も、私の他に全力を注ぐ人が誰かいますか? というスタンスです」

 

「拉致問題については私の内閣で全面解決に向けて全力を尽くしてまいります」と安倍首相が国会で宣言したのは2013年のこと。それから6年近く経っても、一向に前進しない交渉に、安倍首相も焦っているという。6月2日、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会の報道官は、“前提条件なしでの対話”という安倍晋三首相の方針について「厚かましさはこの上ない」と突き放した。

 

「北朝鮮が拉致被害者たちを帰さなくても『再調査する』と言ってくれれば御の字だ、という話も出ています。安倍首相は条件なしで会談すると言っていますが、北朝鮮は必ず条件を付けてきます。現在、日本政府は朝鮮総連の幹部が一度出国したら再入国させない措置を取っているのですが、第一の条件として、この再入国禁止の制裁措置を外せと言ってくるでしょう」(政治部デスク)

 

さらに、問題になってくるのが、2020年の東京五輪だ。

 

「恐らく平昌五輪の時と同じように、統一コリアでやって来るでしょう。そして北朝鮮は喜び組を大量に入国させる際に、万景峰号で入国させろと迫るはず。当然、出国するときに、万景峰号内で大量の現金を積み込み、日本に対してそれを黙認しろという条件を付ける。つまり喜び組を連れていくという名目で万景峰号を入国させて資金調達をする、それを認めろと。日本は『前提なし』と言っても、交渉権は北朝鮮にあるんです。それを受けるか受けないか。そういう交渉が、いま水面下でおこなわれていると思います」(前出・政治部デスク)

 

高齢化していく家族のためにも、一刻も早い拉致被害者家族の帰国が求められている。北朝鮮には“政治的駆け引き”の道具としてではなく、人道問題として拉致問題と向かい合ってほしい。

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