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「子育て、職場での人間関係、ホルモンバランスの変化……複雑な環境で生活する女性はストレスがかかりやすく、慢性頭痛がひどくなる人が増えているんです」

 

そう語るのは、慢性痛に詳しい横浜市立大学附属市民総合医療センター・ペインクリニック診療教授で、『慢性痛は治ります!』(さくら舎)などの著書もある北原雅樹先生。3人に1人の日本人が、悩まされているという慢性頭痛。とくに、頭がズキズキと痛む「片頭痛」を持つ人の80%は女性だというが、北原先生はこう警鐘を鳴らす。

 

「『片頭痛にいつも悩まされて……』という患者さんのなかには、じつは片頭痛に当てはまらない方も少なくありません。死につながるような脳の病いが隠れていたり、市販の頭痛薬を飲み続けて、症状が悪化したりしている方もいます。一口に“頭痛”といっても、じつはその種類はさまざま。正しい原因を知らなければ、痛みを和らげることはできません」(北原先生・以下同)

 

そもそも片頭痛とは、何らかの理由で脳の血管をとりまく神経が刺激され、炎症が広がるために起こる頭痛のことだ。そこでまず、北原先生の解説をもとに、あなたを悩ます頭痛の種類の見分け方を知ろう。

 

「まず、頭痛には大きく分けて、“一次性頭痛”と“二次性頭痛”があります。とくに疾患がないのに起きるのが、一次性頭痛。片頭痛もこれに当てはまります。いっぽう、二次性頭痛とは、脳腫瘍や、くも膜下出血など、何か疾患があって起きる頭痛のことをいいます」

 

頭痛が頻発している人は、いつもと違う二次性頭痛に気づかず、“最悪の事態”を招く危険性もあるという。

 

「(1)最近、急に痛みだした、(2)痛み方が変わったり激しくなった、(3)嘔吐や意識障害、手のしびれ、などの症状がある場合は二次性頭痛も疑われるので、すぐに脳神経外科を受診しましょう」

 

多くの女性が抱えていても、なんとか我慢しているのが一次性頭痛だが、ときには何もできなくなるほど痛むことも……。その一次性頭痛はおもに次の3種類に分けることができる。それぞれの特徴について、北原先生が解説してくれた。

 

【1】血管性頭痛(片頭痛)

 

「何らかの理由で急に血管が広がったことで起こる頭痛で、脈打つようにズキズキ痛むタイプです。体を動かしたときや、光や音に刺激されて痛みがひどくなる傾向があるのが特徴。痛み始める前に、目の前がチカチカするという症状を訴える人もいます。また、ソーセージの発色剤として使われる亜硝酸ナトリウムが原因で、片頭痛が起きることも。ホットドッグを食べると起きる人もいて、“ホットドッグ頭痛”とも呼ばれています」

 

【2】緊張性頭痛

 

「首筋や肩、頭蓋骨を覆っている筋肉などのコリが、頭痛となって現れます。じつは、日本人にもっとも多いのがこのタイプ。姿勢の悪さからくる体のゆがみや、不安や緊張など、心身のストレスや疲れも一因とされています。同じ姿勢を続けていると、頭の両側、全体、後頭部などが締め付けられるように痛むのが特徴です」

 

【3】薬物乱用性頭痛

 

「月に10回以上、頭痛薬を服用している人は、このタイプの可能性が高い。女性は頭痛の予兆を感じただけで、すぐ頭痛薬を飲んでしまうことが多いので、要注意です。つらくても最低1カ月間は頭痛薬を断たなくては、頭痛治療を行うことができません」

 

自分の頭痛がどのタイプかわからない場合は、脳神経外科かペインクリニックを受診してみよう。どうしても薬がないと不安な人に向けて、北原先生はこう語る。

 

「片頭痛には、頭痛薬ではなく、トリプタン系の鎮痛剤がよく効きます。月に5回程度なら副作用もほとんどありません。トリプタン系の鎮痛剤を飲んで効かない場合は、片頭痛ではなく、緊張性頭痛か、薬物乱用性頭痛である可能性が高いと考えられます」

 

トリプタン系の鎮痛剤は市販されていないので、脳神経外科などを受診して処方してもらおう。

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