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新型コロナウイルス対策で収入が減少した個人事業者に対し、国が最大100万円を支給する持続化給付金を巡り、県内で行われた不正受給の総額が少なくとも4億円以上あることが7日、県警捜査関係者らへの取材で分かった。県警捜査2課と組織犯罪対策課は背後に暴力団組織や、暴力団などに所属せずに犯罪を行う「半グレ」がいる可能性があるとみて、慎重に捜査を進めている。

 

捜査関係者らによると7月までに、受給資格のない県内の被雇用者や無職者ら400人以上が、給付金の申請を行ったという。県警は申請を指示したり代行したりする組織がいるとの情報も得ている。申請代行の「手数料」などとして、不正受給した申請人から数十万円を得る手口で、利益を得ている組織がいる可能性がある。県警は背後に暴力団や半グレなどといった反社会的勢力がいるとみて、捜査を進めている。

 

持続化給付金を巡っては、全国でも虚偽申請による不正受給が相次いでいる。大阪府警や愛知県警は、申請の指南役とされる会社役員などを詐欺容疑で逮捕した。県内では不正受給に関連した相談が県消費生活センターなどに寄せられていた。県内での逮捕事例はない。給付金は支給スピードを重視し、手続きがインターネット上で行えるなど、審査が簡略化された経緯がある。

 

「ルポ新型コロナ詐欺」の著書がある、フリーライターの奥窪優木氏は「反社会的勢力が一般市民をそそのかして不正受給させ、振り込まれた給付金の大部分を手数料名目やマルチ商法などの手口で吸い上げる例が全国でも相次いでいる」と説明する。一方で「吸い上げられた側もそそのかされたとはいえ不正受給に手を染めている手前、警察に被害届を出すことはまれなので、事件化することはほとんどない」と指摘した。

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