「交通事故など、命に関わる事故に遭ったときO型の人はほかの血液型の人より死ぬリスクが大きいことをご存じでしょうか?」
こう話すのは、世界中の血液型と病気に関わる文献を収集、研究している永田宏先生(長浜バイオ大学教授・以下、コメントはすべて永田先生)。
2年前に東京医科歯科大学の高山渉特任教授らが、重症のケガで緊急搬送された901人の患者のデータを分析調査したところ、重大事故にあったときの死亡率は、ほかの血液型の2倍以上、O型が高かった。
「これは、血液型の特徴をあらわす貴重なデータです」
日本では、血液型占いが盛んなため、身近な「ABO式血液型」だが、世界の医学者が血液型と病気の関係性について注目したのはつい最近のことだ。
「血液型というのは、医学的にはRh(+)(−)のほか、100種類以上の分類があります。そのなかでABO式は歴史が古く1900年にウィーンで発見されました」
じつは、それまで、人の血液はすべて同じだと考えられてきた。それが医学の進歩で輸血が試みられるようになり、混ぜると固まってしまう血液と、固まらずに輸血に使える血液があることがわかってきたという。
「血液が固まるのは赤血球が凝集するせいです。人には、すべての血液と凝集しないO型。AとOとが凝集しないA型。BとOとは凝集しないB型。AとB両方と凝集してしまうAB型の4パターンがあることがわかったのです」
どうして、O型だけが、重大事故の際、死亡リスクが高いのだろうか? 永田先生はつぎのように解説する。
「出血の際に血液を固めて止血するための血液凝固因子は、すべての血液型に共通して存在します。ただO型のみが、一部の凝固因子の濃度に違いがあり、ほかの血液型より、血が止まりにくい傾向があるんです。ふだん、ケガをした程度ではまったく問題はありませんが、重大事故といった生死を分ける数値の場合には、それが反映されてくるのではないかと推測されます」
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載