日本で唯一の「主夫芸人」中村シェフ(35)。お笑い芸人として行き詰まっていた’10年、7年間付き合っていた彼女に「今、ヒマなら結婚しない?私が働くから家庭に入ってほしいの」とプロポーズされ、翌’11年に結婚した。

 

現在は3歳と0歳、2人の娘のパパ。彼が家事や育児に奮闘する中で気付いたことをまとめた『主夫になってはじめてわかった主婦のこと』を出版した。実践しているのは、芸人ならではの「ツッコミ育児」という独自の方法なんだとか。

 

「たとえば、子供が何度も同じ場所に飲み物をこぼしたら、そのたびにガミガミ叱るのではなく、『また同じところにこぼすんかーい(笑)』と笑わせます。本当に危険ならきちんと注意しますが、僕が拭けばいいくらいの手間だったら、僕も娘も楽しく、面白いほうがいいと思って」

 

主夫業は「とにかく楽しく」がモットー。だがそんな彼にも、じつは悩みがあるようで――。

 

「男性だと『ママ友』のコミュニティに入りにくくて、児童館でも公園でも、ひとりぼっちなんですよ……。平日の日中、男性が子供の面倒を見ていると、まず不思議がられます。そして、警戒心を抱かれます」

 

児童館は子供のための施設でもあるが、夫について愚痴を言ったり、夕食の献立を話し合ったりするなど、ママたちにとっての情報交換の場となっている。「主夫」とはいえ男性がその輪に入れば、女性同士の話がしにくくなってしまう……。彼自身も、それを申し訳なく思っているそう。また「カジメン」「イクメン」といった言葉が当たり前のようになっている昨今だが、彼の周囲にはそういった男性はいないという。。

 

「たまたま僕のまわりにいないだけなのかもしれませんが、離乳食の講習に行っても、幼稚園の送り迎えに行っても、男性は僕だけ。テレビなんかでも報じられて、世間では増えているような印象があったのですが、『主夫』ってやっぱりまだまだマイノリティなんですね」

 

主夫になって改めて気づかされたこともある。「(家事ができるなんて)すごい!」と、まわりからほめられること。世間の主婦がみんなやっていることをやっているだけなのに、「料理も作って、子育てまでしてるなんて、偉いね〜」と言われてしまう。

 

「家事という仕事は本来、性別とは無関係。だから、僕がすごいとほめられても、『どこの家の奥さんもやっていることだよ』と思うんですよね。なので男友達から『すごい』と言われたら、『僕のことをすごいと思うなら、奥さんにもすごい、いつもありがとうって言ったほうがいいよ』と返すようにしています。チヤホヤされるのは、決して悪い気はしませんが(笑)」

 

孤軍奮闘している主夫芸人・中村シェフ。町で彼を見かけたら、決して不思議がらずに「ママ友情報」を教えてあげてください!

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