“場面緘黙症”で話せず不登校…14歳少女が行列店のパティシエに
画像を見る 三角屋根のかわいいお店で

 

■給食が食べられず、水も飲めず……。教室でできることが減っていき、不登校に

 

みいちゃんは07年8月17日、近江八幡市に生まれた。会社員の父親・誠司さん(54)と千里さん、専門学校生の姉(19)、そして双子の兄である一樹さん(14)の5人家族だ。

 

「うちは共働きですから、子供3人は1歳から保育園。みずきがいちばん手がかかったというのは、家で一度かんしゃくを起こすと、2時間も3時間も続くんです。なのに保育園では、お友達ともしゃべらない、工作もできない」

 

理由を尋ねても、

 

「……わからない」

 

小さな声で、それだけ。

 

「そんな気質の子やろうと思っていましたが、小学校に上がる前に保健師さんらのすすめで専門医に診てもらって、初めて場面緘黙症とわかり、私は落胆より、そういうことやったんか、と腑に落ちたような気持ちでした」

 

同時に、自閉症スペクトラム、発達障害でもあるとの診断だった。病気のことを、一樹さんに告げたときだ。

 

「オレがみいちゃんのこと、守ったげるから、ママ、だいじょうぶやで」

 

双子の兄の頼もしい言葉もあり、近所の公立小学校へ進学。家ではランドセルを喜んでいたが、

 

「もう、入学式から入場行進ができませんでした。その後も、集団生活の教室では声が出ない、体育ができない、給食も食べられないし水も飲めないしで、脱水症状や栄養失調状態になるほど。トイレだけは、友達の介助で行けました。2年生からは支援学級に入り、みずきのお守りのつもりで障害者手帳も取得しました」

 

しかし、学年を重ねるたびに、できないことが増えていく。

 

「体が固まると、かろうじて息をすることと目を動かすことしかできなくなる娘を見て、私も悲しいばかりで、毎日毎日を乗り切るだけで精いっぱいでした」

 

小4で、不登校となる。

 

「勉強もぐんと難しくなり、周囲は女の子の仲よしグループができていくなかで、やっぱり、みずきは、そういうのも希薄というか。やがて毎朝『おなかが痛い』と言いだして、3学期にはまったく通学できなくなるんです」

 

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