「ミサイル購入で平和が守れますか?」東村アキコさんが抱く岸田政権の軍拡への疑問
画像を見る 購入が予定されるトマホーク(写真:U.S. Navy/ロイター/アフロ)

 

■武器購入が平和につながるのか、疑問でならない

 

とはいえ、これまであまり漫画や自身のSNSなどでも政治について発信してこなかった東村さん。参加に迷いはなかったのだろうか。

 

「エンタメの世界で生きてきたクリエーターとして、純粋に作品を楽しんでもらうために、あえて政治的な発言は控えてきました。

 

でも、エンタメは、平和あってこそのもの。もう黙っていられなくなったんです。もちろん『わざわざ、東村さんが言う必要はないじゃないですか』と止める人もいたし、ネットとかでたたかれることもあるかもしれません。でも、私が発信することで、1人でも多くの人にこの問題を考えてほしいと思ったんです」

 

ネットニュースのコメント欄やSNSでは、軍拡反対を訴える人に対して、厳しい言葉を投げかける人も少なくない。しかし、それでも東村さんは決して引かない。

 

「なかでも私がいちばん疑問に思ったのは、トマホークを500発も買うことです」

 

トマホークとは、敵基地攻撃を想定して、日本がアメリカから購入する巡航ミサイル。政府は、’23年度に約500発を一括購入する契約を米国と結ぶ方針。同年度の予算案には、トマホーク取得費として2113億円が計上された。

 

「“何をそんなに甘いことを”“平和ボケだ”と言う人もいるでしょう。でも、ウクライナにロシアが侵攻してから1年がたちます。当初、圧倒的な軍事力があるロシアが、数日以内に制圧すると報じられていたし、私もそうなんだと思っていました。しかし、戦いはまったく終わりません。毎日のように何発ものミサイルを撃ち合って、犠牲者が出ても、戦争は続いています。

 

仮に日本がトマホークを500発購入したところで、本当に平和につながるのでしょうか。戦争の抑止につながるのでしょうか。ウクライナの状況を見ると、とてもそうは思えないんです」

 

たしかに増税や歳出カットなどで“何が何でも防衛費を作る”という今の政府のスタンスには、恐怖を覚える人も多いだろう。

 

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