土日になると、平日とはまた違った顔を持つ「江ぐち」。地下のお店から階段まで伸びる行列ができ、ビールの注文がやたら増えるという。

「午前中でビール2~3ケースは出ますね。お店に入るなり、黙ってビールの栓を抜く常連さんもいらっしゃいますし(笑)」(橋本さん)

かつて雑誌で“プチ居酒屋”と書かれたこともあるという。昼から地元の常連が一杯やる光景。隣駅の吉祥寺の立ち飲み焼き鳥の名店「いせや」にも、どこか通じるものを感じる。 「大衆的な割烹でお客さんと気さくに話す両親の姿を見て育ったので、江ぐちのスタイルはしっくり来ますね。お客さんとの会話を楽しみながら、調理して、営業していくという」(橋本さん)

向かいの“昔ながらの”喫茶店では、休憩中の井上さんが一服している。ギャンブルが趣味という井上さん。ガラス越しに見えるその姿に、常連さんが橋本さんに声をかける。「今日は競馬? 競艇だっけ?」お客さん、お隣のお店も含めて、“昔ながらの東京ラーメン”がここには息づいている。

高騰を続ける材料費。値上げすべきか悩む井上さんだが、もし50円値上げしても「江ぐち」のラーメンはまだ500円だ。

「先代が言ってたんですよ、商売は儲け考えちゃ絶対ダメだって。ガツガツしないでやってればいいんですよ。高い値段で3人来るところ、安い値段で5人に来てもらえばいいんだから」

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