50代以上は要注意!認知症リスク高めるコロナ後遺症“ブレインフォグ”の恐怖
画像を見る 発熱外来を受診する患者(写真:共同通信)

 

■認知症の原因物質は脳の炎症部位にたまる

 

そもそもなぜ、コロナ感染の後遺症で、ブレインフォグが起きるのだろうか。認知症の患者を多く診ている金町駅前脳神経内科の内野勝行院長は、こう解説する。

 

「まだ、はっきりしたことはわかっていませんが、『脳の炎症』が関与していると推測されています。ウイルスに感染すると、体は抗体を出して闘いますが、そのとき体内では炎症反応が起こります。この炎症反応が脳内にもおよび、神経細胞がダメージを受けて認知機能が低下している可能性があるのです。また、感染によって自律神経が乱れ、脳が極度の疲労状態に陥ることも影響するでしょう。睡眠不足が続くと思考力が低下しますが、それと同じ状態が続いていると考えられています」

 

こうした2点に加え、多くの患者を治療するなかで、“上咽頭”の炎症が関与していることもわかってきた、と前出の平畑先生は指摘する。

 

「ブレインフォグを訴える患者さんの多くが、脳の近くに位置する、鼻の奥の上咽頭という部分に炎症を起こしています。この部分の炎症が脳の血流やリンパの流れを阻害して、ブレインフォグを引き起こしている可能性があるのです」

 

■認知症につながる可能性は…

 

脳の機能を低下させるブレインフォグ。認知症につながる可能性はあるのだろうか?

 

「うちのクリニックで診ているような、比較的若い患者さんは、認知症につながるリスクは低いと思っています」(平畑先生)

 

一方、前出の内野先生は「ブレインフォグと、いわゆる認知症では、発症のメカニズムが異なる」と前置きしたうえで、「特に身体機能が衰えていく50代以上においては、将来的に認知症のリスクを高める可能性も否定できない」と警鐘を鳴らす。その理由はこうだ。

 

「たとえば、アルツハイマーの原因と考えられているタンパク質のアミロイドβは、脳の炎症がきっかけとなり蓄積されます」さらに、4大認知症の1つである前頭側頭型認知症でも、脳内の炎症が進んでいる部位ほど、認知症の原因となる異常タンパク質の蓄積が多いことが確認されているという。

 

「これらを踏まえると、コロナに感染したことで脳内の炎症が長引けば、将来的に認知症になるリスクが高まる可能性も否定できません。また、軽度の認知症を患っていたが顕在化していなかった方がコロナに感染した場合、認知症の症状が一気に悪化してしまう可能性は十分にあります」

【関連画像】

関連カテゴリー: