ウィッグ、タクシー代…治療費以外にも年間55万円が!がんでかかる本当の費用
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■乳がんの場合は5年以上治療が続く

 

たとえば、女性の罹患数が最も多い乳がんの場合、外科的手術などを行う1年目には高額療養費制度を適用しても53万円がかかる。さらに2年目に17万円、3年目に15万円、4、5年目に7万円の治療費が発生する。

 

「乳がんはステージ1で治療を行っても、10年後に再発、転移が見つかるケースがあります。そのため、乳がんの増殖を促す女性ホルモンを抑制する治療を5~10年にわたって行う必要があるのです。また抗がん剤を続けるケースでも、同様に長期戦を覚悟する必要があります」(上さん)

 

このような治療費の大半はがんと診断されてから3カ月で一気に必要となることが多いと黒田さんは指摘する。

 

「しかし、一般的な収入の家庭なら、自己負担額が約9万円を超えた分は、高額療養費制度を申請することで還付されます。がんの治療においては必ず利用したい制度です」

 

高額療養費制度とは、1カ月(1日から月末まで)にかかった医療費について、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度。ただし、自己負担限度額は、年齢や収入によって異なるので確認を。また、1年間に3カ月以上高額療養費の支給を受けた場合には、4カ月目から「多数回該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減される。

 

自己負担限度額は、70歳以上で年収156万円~約370万円の場合、5万7,600円(外来:1万8,000円、多数回該当なら4万4,400円)。70歳未満で年収約370万円~約770万円の場合は8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%(多数回該当なら4万4,400円)となる。

 

さらに、高額療養費制度と合わせて使いたいのが「限度額適用認定証」だ。高額療養費制度を使えば実際の負担額は減らすことができるが、いったんは窓口で医療費を支払わなければならない。あらかじめ健康保険組合などに「限度額適用認定証」を申請し医療機関で提示すれば、窓口での支払い金額が自己負担限度額までとなるのだ。

 

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