認知症徘徊による行方不明の数は年々増えている(写真:PIXTA) 画像を見る

人生100年時代を迎えて、長生きリスクのひとつが“認知症”。

 

高齢化に伴い、認知症になる人は増え続け、2025年には65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になると推計されている。

 

そのうえ、徘徊で行方不明になる人が急増していることも問題に。

 

警察庁によると、’22年、認知症やその疑いで行方不明になった人の数は1万8709人と過去最多を更新。’12年の統計開始から10年連続、増加の一途をたどる。

 

「高齢者の行方不明は前期高齢者(65歳以上74歳以下)と、後期高齢者(75歳以上)で状況は変わってきます。前期高齢者はまだ体力があり足腰が丈夫なので、公共交通機関などを使って遠出してしまう恐れがあり、ケガや事故に巻き込まれる危険性があるのです。今の時季、熱中症になるリスクも高まるので、注意が必要です」

 

そう警鐘を鳴らすのは、中部脳リハビリテーション病院、中部療護センター(岐阜県美濃加茂市)副センター長で脳神経外科医の矢野大仁先生。

 

’16年、桜美林大学老年学総合研究所が公表した調査によると、徘徊で行方不明となった場合、発見されるのが当日中なら8割(82.5%)が生存しているが、翌日なら6割(63.8%)、3~4日目は2割(21.4%)と生存率は低下し、行方不明から5日経過すると生存率は0%となることがわかった。

 

「いかに早く発見するかが生死を分ける」(同研究所)としている。

 

一方で、警察などで保護されたとしても、認知症のため名前や住所、電話番号が伝えられないため、「身元不明者」となってしまうケースもあるそうだ。

 

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