都道府県別”死亡ランキング”「最下位は青森県」の理由

平成22年の厚生労働省『都道府県別年齢調整死亡率』によると、年齢構成を調整し10万人当たりの死亡数を表したランキング最下位は「青森県」で、女性304.3人、男性662.4人だった。つまり、もっとも死亡率が高い県ということだ。なぜそんな結果になったのか。日本全国の食生活や生活習慣を調査している食文化研究家・永山久夫さん(80)に聞いた。

「青森は豪雪地帯ですから雪が降る期間、特にお年寄りは外に出ると危険なので家のなかに閉じこもってしまう傾向があります。青森県は閉じこめられてしまう期間が長いんです」

冬場の運動不足が原因のひとつだという。閉じこめられて外に出ないため、太陽の光を浴びることも少なくなる。すると”幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンや、カルシウムを吸収しやすくするビタミンDが作られにくくなってしまうというのだ。ストレス予防に効果的といわれるセロトニン不足も影響しているとみられるとのこと。

また、農業の形も関係しているという。もともと青森では漁業が盛んだが、力仕事のため高齢者が続けていくのは難しい。農業には高齢者の出番も少なくないと思えるのだが。

「青森は平野ですから耕地面積が広い。青森の耕地は機械が入る構造になっています。自動耕運機で耕したり稲刈りをするので、機械を使えないお年寄りは農業での役どころが少ないんですよ」

食生活も大きく影響しているようだ。青森では焼き魚でも漬け物でもなんでも醤油をかけると聞くが、塩分過多は体に悪い。動脈硬化が起こりやすくなるので、血圧が高くなり脳にも悪影響を与えるという。

「確かに青森県は料理全体がしょっぱい。塩分摂取量が多いのですね。醤油にはうまみ成分のアミノ酸が含まれているので、料理にかけるともっとうまくなる。そのうまさを脳が記憶すると、醤油をかけなければ満足できないような味覚構造になる危険性が高いんです」

ただし、永山さんは、青森県の可能性についてこう語っている。

「青森名物のイカやホタテには、脳の老化を抑え、血管を丈夫にし、余計な塩分を排出するるタウリンが多い。うまく土地の名産を利用しないともったいない。土地の名産である、にんにく、りんご、魚介類などをうまく取り入れるようになったら、いくらでもナンバーワンになる可能性は高いと思います」

 

関連カテゴリー:
関連タグ: