市長のやりすぎ節電対策で130人が倒れた中学校の”炎熱地獄”
”節電の夏”を前に、埼玉県所沢市立狭山ヶ丘中学校で市や保護者を巻き込んだ騒動が起きている。同中学は、国内最大級の航空自衛隊入間基地から約2キロ。自衛隊機の騒音がひどく、夏は窓を開けざるを得ないが授業にならないため、エアコン導入が決まっていた。ところが昨年10月の選挙で当選した藤本正人市長が突然、計画を中止してしまったという。
「窓を開けていると電話も聞き取れない。テレビの音も飛行機が飛んでいると聞きづらいので、このあたりはNHKの受信料も国が半額負担してくれています」と保護者の1人。国も認める騒音のため防衛省も補助金を出し、設計図もあがっていた。「工事は今年からスタートすることになっていた」とPTA会長の大原隆広さん(41)は言う。
ところが昨年12月のこと。長年、市内の公立小中学校へのエアコン導入を訴えてきた平井明美市議は言う。「市長が議会で『扇風機で十分』と発言。心配した保護者が1月に要望書を提出しましたが、3月に市長が『熟慮した結果』エアコン導入を中止、国からの補助金も返還すると決定したんです」
同中学では昨年、暑さが原因と思われる生徒たち約130人が保健室に運ばれていたという。
市長のホームページにはこうあった。《1、「快適で便利な生活」を見直し、行動を起こすとき! 2、窓を閉めなければ授業はできないのか? 3、税金の使い方としてよいのか?》
「市長は実際に学校に視察に来て判断したのでしょうか。震災や原発事故を受けて元教育者だった市長は『何でも便利な世の中を変えなければならない』とお話になりました。それは理解できますが『教師も生徒も汗をかきながら勉強するのが教育だ』という部分は、意味合いが違うのではないでしょうか」(PTA副会長・関原明子さん)
現在、保護者が中心となり来年度のエアコン導入を求める署名活動が行われており、すでに目標の1万筆以上が集まっている。前出・平井議員はこう語る。
「導入予定のエアコンはガス方式で、消費電力は電気の10分の1ほどです。無駄遣いはやめるべきですが、子どもたちの安全と環境整備のために必要なものには使うべきではないでしょうか」