台風シーズン到来に警鐘!荒川決壊で起こる「首都水没の恐怖」

「どうしてもいま日本は地震や津波の対策に目を奪われがちですが、荒川氾濫による東京水没の危険度はそれ以上に切迫しています。そうなったら1千人を超える死者を出すだけでなく、首都機能が壊滅する事態も避けられません」


こう警告するのは、水害の専門家で、関東学院大学名誉教授の宮村忠先生。そうはいっても『首都水没なんて映画じゃあるまいし……』と思う人も多いだろう。だが、広域首都圏防災研究センター長で群馬大学大学院・片田敏孝教授の声は真剣だ。


「現在の荒川堤防は200年に1度の大雨を想定して、3日間の総雨量が548ミリまでは耐えられるように設計されています。確かにゲリラ豪雨などでは堤防決壊はしません。しかし去年、紀伊半島を襲った台風12号の降雨量は2千400ミリ以上。あの台風がもし関東を直撃していたらと思うと背筋が寒くなります。荒川決壊はいますぐそこにある危機。決して絵空事ではありません」

巨大台風が引き金となって起きる東京大洪水。今年は、その”発生する可能性”がさらに高くなっているという。

「先日、気象庁が今後『850ヘクトパスカル』もの巨大台風が発生する可能性があると発表したんです。今年は、いまだに海水温25度の高温ラインが三陸沖まで広がっていて、9月にも関東を巨大台風が直撃するリスクは極めて高いといえる」(片田先生)

台風によって、上流の広域に大量の雨が降った場合、荒川下流ではその水量は膨大になり、ついには決壊する。もし京成本線鉄橋付近から決壊すると、死者は4千人近くに達するとの試算もある。さらに衝撃的なのは、荒川沿いの地下鉄の駅からトンネルに入った水が東京駅などから溢れ出し、本来は荒川から遠いはずの日本橋、銀座付近までが浸水すること。

「’03年に、福岡市内の洪水では博多−福岡空港間の地下鉄トンネルが水路になったことがあります。一方、都内の場合、地下鉄の出入り口は非常に複雑ですべてをふさぐことはできません。町屋駅などから浸水した水は東京メトロ千代田線を通って千代田区、中央区に達して溢れだし、兜町などの金融街、大手町のビジネス街を直撃。日本経済をストップさせることはまちがいない。東京メトロは止水板などで防ぐつもりですが、水量のすさまじさを考えると難しいでしょう」(宮村先生)

首都水没のカウントダウンはすでに始まっている。

 

 

 

 

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