お酒のうえの失敗談や武勇伝、笑い話で済むうちはいいが、ひそかに忍び寄るのが、アルコール依存症の危険性だ。アルコール依存症の回復を目指す自助グループAA(アルコホーリクス・アノニマス)の事務運営を担当するNPO法人AA日本ゼネラルサービスには、まるで商談か第三者の話でもするように、しっかりした口調で電話をかけてくる女性も目立つという。

 

じつにさまざまなタイプの女性が、アルコール依存症に悩まされているのだ。治療を受ける国内の依存症患者数は年々増えており、女性が占める割合も確実に増加している。女性は、アルコール依存症への進行が早いのが特徴だと、特定非営利法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)副代表で、研修相談センター所長を務める水澤都加佐さんは話す。

 

「男性が20年前後かけて依存症になるケースが多いのに比べ、女性はホルモンなどの関係で5~6年、早い人は1年ほどでなってしまう場合も。女性のほうが肝臓障害を起こしやすいというデータもあります」

 

アルコール依存症は、どのように進んでいくのか。まず飲酒が習慣になると、「精神依存の形成」が始まる。アルコールがないと物足りず、飲んで記憶が飛ぶという症状は、依存症ギリギリの瀬戸際ラインだ。次に依存症初期の「身体依存の形成」。お酒が切れると、発汗、微熱、悪寒、不眠などの症状が表れる。しかし、それでもまだ、アルコール依存という自覚は生まれない。風邪と勘違いするケースもあるという。

 

「依存症後期では、お酒が切れると苦しくなるのでアルコールが欠かせなくなり、連続飲酒などの状態に。そのままにしておけば社会生活は困難になり、最終的には死に至ります。依存性という面では、アルコールは麻薬と同じ。アルコールの身体依存、つまり離脱症状の強さは、ヘロインに匹敵します」(水澤さん)

 

ここで気をつけたいのが「依存症になるのは意志が弱いから」「強い意志があればやめられるはず」という誤解。依存症は「意志」の問題ではなく、脳機能の問題で、WHO(世界保健機関)なども認める「疾病」なのだ。

 

「依存症は進行性の病気ですから、『少し飲み過ぎかな』と思ったぐらいの時点で相談したほうがいいでしょう」(水澤さん)