人気男性作家5人に聞いた「大切な人に贈りたい本」

山田宗樹さんが「娘に」贈りたい本は『ローマ人の物語』(塩野七生/新潮社)

「歴史とは何かを体感できる書物としてもこれ以上のものは思い浮かばない。現代社会も、歴史の流れの中で捉え直すことによって、まったく違う姿を見せる。これからの時代を生きるうえで、その視点は大きな財産になってくれると思う」

道尾秀介さんが「忙しすぎる友人に」贈りたい本は『香月泰男のおもちゃ箱』(香月泰男作・谷川俊太郎詩と編・大森忠撮影/新潮社)

「身近にある空き缶やひも、針金などを利用して作成されたおもちゃたちの写真に、谷川俊太郎さんがそれぞれ詩をつけている。珍しい材料も難しい言葉も、ここでは一切使われていない。それが『日常への愛おしさ』を思い出させてくれる」

市川拓司さんが「妻に」贈りたい本は『荒野へ』(ジョン・クラカワー著・佐宗鈴夫訳/集英社)「現代社会に決して収まりきることのない過剰な活力を持って生まれてきた青年。彼が荒野で命を落とすそのみぎわに書き記した言葉『幸福は分かちあえたものだけが、ほんものである』。それを妻に伝えたい」

花村萬月さんが「いつかは小説を書いてみたいと思っている貴女に」贈りたい本は『北の海』(井上靖/新潮社)

「派手な山場もどんでん返しもありませんが、だからこそ幾度でも読めてしまう小説です。実際私は20回ほども読んでいるのではないか。いまでも時折、読み返すのです。うっとりします。れい子という美少女に対する主人公の淡い慕情がたまりません」

熊谷達也さんが「教員時代の教え子たちに」贈りたい本は『海炭市叙景』(佐藤泰志/小学館)「北海道の地方都市で暮らす普通の人々の日常を繊細なタッチで描いた短篇集。作者の遺作として’91年に出版された作品が文庫化されたもの。当時私は中学校の教員をしていました。今は大人になっている教え子たちに贈りたい本」