「所得税法上、個人が手にするお金はほとんどが稼ぎやもうけとみなされ、税金がかかります。非課税になるのは、所得税法第9条などで決められた“例外”だけです」
そう話すのは総合情報サイト「All About」で税金ガイドを務める税理士の田中卓也先生だ。課税・非課税は見分けづらいが、「慰謝料」を例に考えるとわかりやすいという。
「離婚などで払う慰謝料とは、それまでに受けた精神的苦痛などの損失を、金銭で補填するものです。損失のない状態をプラスマイナスゼロとすると、損失分のマイナスを慰謝料で補填して、ゼロに近づけるイメージです。税金は、稼ぎやもうけなどのように、現状よりプラスになるものにかかります。マイナスの補填である慰謝料などに、税金はかかりません」(田中先生・以下同)
だとしたら、高齢者の生活を支える「老齢年金」は? 配偶者を亡くした人に支払われる「遺族年金」は? 「宝くじの当せん金」はどうだろう? そこで2択クイズを出題! 次のうち税金がかからないのはどっち?
■「死亡保険金」と「入院給付金」税金がかからないのはどっち?
「保険からもらえるお金には、死亡や満期時の「保険金」と、入院や手術の際の『給付金』があります。入院給付金などの給付金は、身体的苦痛や経済的損失など=マイナスの補填と考えられ、非課税です。いっぽう、保険金は課税対象ですが、保険料を払う人(契約者)、誰にかける保険か(被保険者)、保険金の受取人の関係で、かかる税金が異なります。被保険者である夫が亡くなった場合、保険料を払った妻が保険金を受け取ると、自分のお金が増えた、ある種のもうけと考え所得税。夫が払って妻や子が受け取ると、夫のお金を相続したとみなされ相続税。妻が夫にかけていた保険金を子が受け取ると、子はお金をもらったことになり贈与税がかかります」
正解は……入院給付金。
■「老齢年金」と「遺族年金」税金がかからないのはどっち?
高齢者の生活を支える老齢年金。年金だけでは暮らせない人も多いというのに、課税されるの?
「老齢年金は稼ぎに当たると考えられ、原則、『雑所得』として課税されます。ですが、公的年金等控除や健康保険料などの社会保険料を差し引いて、一定額以上になる人が課税対象です」
配偶者を亡くした人が受け取る遺族年金は?
「配偶者が生きていればもらえたはずの年金を、もらえなくなった=マイナス分の補填と考えますので、非課税です」
正解は……遺族年金。
■「iDeCo」と「NISA」税金がかからないのはどっち?
「貯蓄から投資へ」といわれ注目を集める「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と、「小額投資非課税制度(NISA)」は、投資で得た利益が非課税になることが特徴だ。
「ただし、iDeCoは60歳以降にためたお金を受け取る際、税金がかかります。NISAは年間120万円までの範囲であれば非課税です」
それなら、iDeCOは損?
「iDeCoは掛金が全額、所得控除されます。iDeCoを長期間続けると、所得控除による節税が積み重なるので、NISAにはない大きなメリットです」
正解は……NISA。
■「宝くじ当せん金」と「競馬の勝ち金」税金がかからないのはどっち?
「宝くじで7億円が当たったら、税金で相当引かれるんだろうなあ」なんて、当たる前から心配している人もいるのでは?
「宝くじの当せん金には、税金がかかりません。というのも、宝くじの代金には約4割の税金が含まれていますので、当せん金に課税すると二重課税になってしまいます」
高額当せんしたことのない人も、税金は払っていたんですですね。
「競馬の勝ち金はたまたま得たもうけ、つまり『一時所得』として課税対象です」
正解は……宝くじの当せん金。
「女性自身」2020年9月1日 掲載