危険な節水術7 トイレタンク故障で出費増、菌繁殖で健康被害引き起こす
画像を見る 健康被害を引き起こす節水術は(写真:PIXTA)

 

【危険な節水1】風呂の残り湯を洗濯に使う

 

横浜市水道局が行った研究によると、風呂の水は入浴してから一晩おくことで細菌が数千倍に増殖。その細菌の匂いが洗濯物に残り不快なにおいになるだけでなく、洗濯乾燥後も細菌の10分の1が残ったままだったという。

 

万一、人体に有害なレジオネラ菌が発生した場合、健康被害の可能性もある。レジオネラ菌に感染すると呼吸不全や、最悪の場合は肺炎にも。

 

【危険な節水2】トイレを流す回数を減らす

 

トイレを使っても小の場合は流さず節約している人がいる。たしかにトイレのレバーを引くと現在の「節水トイレ」だと小の場合で3~4リットル、大で5~6リットルの水が流れるので、回数を減らせば水道の使用量は減らせるが、絶対にやめること。

 

アンモニア臭がトイレに充満して消えなくなるほか、不衛生で健康に悪影響だ。

 

【危険な節水3】トイレタンクに水の入ったペットボトルやレンガを入れておく

 

これはトイレタンクにたまる水の量を強制的に減らして、1回の使用量を減らすテクニックとして紹介されているもの。

 

しかしトイレのタンク内にペットボトルを入れることで、タンク内の水の流れが変わり、タンク内の部品が破損してしまい、水が止まらなくなることもあるので要注意。またレンガなどでかさましさせると、重さでタンクが壊れる恐れもあるという。

 

【危険な節水4】食器洗いのすすぎを短時間にする

 

食器や野菜など洗うときに手早くすすいで、とにかく蛇口から出る水の量をできるだけ減らすのが節約と考え、実行している人がいる。ただしこれも限度がある。

 

きちんとすすがないと洗剤や農薬などが残っている危険性があり、食品衛生法では最低でも食器は5秒、野菜類は30秒はすすぐことを推奨している。

 

【危険な節水5】大で流すべきところを小で流す

 

前出のとおり、節水トイレは小の場合は3~4リットル、大は5~6リットルの水が流れるように設計されているものが多い。

 

大で流すべきところを小で流すことで2~3リットルの節水にはなるが、水量が少ないためにトイレットペーパーがつまってしまったり、配管に汚れが蓄積して、トラブルのもとになることも。水道工事になると節水で節約した金額以上の出費になるのでやめるべき。

 

【危険な節水6】食器を長時間つけ置き洗いする

 

つけ置き洗いは節水として奨励されているが、放置すると危険。たとえば10時間つけ置くと、ブドウ球菌や大腸菌の一種が数万倍に増殖する(衛生微生物研究センター調べ)というデータもあり、菌が殖えてしまうと、食器洗い洗剤だけでは菌を落としきれないことになるので、つけ置いた食器は早めに洗うこと。

 

つけ置くよりも食器の油汚れなどはあらかじめ不要な新聞紙などでふいてから短時間で洗うほうが水の節約になる。

 

【危険な節水7】水を少量出して長時間かけて風呂水をためる

 

水を少しずつ出すと水道メーターにカウントされないので水道代の節約になるといわれていたが、これはかつてのアナログな水道メーターの時代のこと。いまはどんなにちょろちょろ出してもしっかり水道メーターにカウントされるので意味がない。

 

かえって見守る作業が必要なため、時間の無駄になって損をしていることが多い。うっかりあふれさせて、水道代の無駄になることも。

 

節水が出費増大や健康被害につながってしまっては本末転倒だ。まずは「歯磨き中の流水はやめる」などを徹底しよう。

 

【PROFILE】

小沢美奈子

ファイナンシャルプランナー。著書に効率のよい節約術をまとめた『本物の節約 残念な節約』(河出書房新社)がある

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