経済評論家の勝間和代さん(49)は、『断る力』(文春新書)など多くのベストセラーがあり、“勝ち組”になることを世の女性たちに説いて励ましてきた。
いっぽう、精神科医の香山リカさん(58)は、『しがみつかない生き方』(幻冬舎新書)などの著書があり、“勝ち組”になれない弱者の立場にやさしい言葉で寄り添った。
“情報を駆使して勝ち組になれ”、“いや、勝ち組になれない人だっている”――。相反する2人の論調は、’10年ごろ「カツマー×カヤマー論争」として世をにぎわせた。そんな2人が論争以来初となる“誌上対談”で語り合った。
8年がたち、勝間さんには驚きの報道があった。今年5月、勝間さんは、ニュースサイト「バズフィード・ジャパン」で、LGBT(=性的マイノリティ)のうちのレズビアンであることを公表しているアクティビストの増原裕子さんと交際・同棲していることを公表したのだ。
勝間「知り合ってから2年、今年の2月から一緒に暮らし始めました。ただ、彼女も公で活動しているので、外部から何か言われてからより、自分から言ってしまったほうがいいなと判断したんです」
香山「よく芸能人が婚約会見とかしますが、それと似た感覚というか、爽やかな印象がありました」
勝間「そうですね、自分たちでは『交際宣言』に近い感覚でした。知人にも紹介できるし、一緒に旅行にも行けますしね」
香山「LGBTの当事者の方からすると、たとえば『女性だけが好きなのか』とか『男性も女性も好きなのか』と聞かれるのは、どうなんでしょうか」
勝間「私は、『男性と女性のカップルにしたら失礼な質問は、同性同士のカップルにもしないようにしましょうね』と言うようにしています。たとえば、男性と女性のカップルに『2人でどうやってベッドに入るんですか?』と聞かないですよね。でも、男性同士や女性同士のカップルには、平気でそういうことを聞いてくるんです」
香山「なるほど、『一緒にお風呂に入るんですか』とか『下着は替えっこするの』とか、男女のカップルにも聞かないですもんね」
勝間「でも今回、報道も好意的なものばかりでしたし、ここ何年間で世の中はずいぶん変わったなと思いましたね。たとえば、女性が外で働くこととか、参政権もかつてはなかったんです。でもいまは“超当たり前”じゃないですか。LGBTのことも、そうなると思います」
香山「マツコ・デラックスさんがテレビに出ていると、昔は『オカマが出てる』といわれただろうけど、いまやマツコさんはテレビで欠かせない存在ですよね。でも、LGBTへの差別がなくなりつつあるのに比べて、いわゆる在日外国人への差別はぜんぜんなくならず、むしろ逆行している」
勝間「『マジョリティ』と『マイノリティ』という構図は同じはずなんですけどね、LGBT差別も外国人差別も、女性差別も。いかにこうした差別が無意識に根づいているか。政治家の失言にもみられますね」
香山「二階俊博自民党幹事長が“子どもを産まないというのは勝手な考え”と言ったこととかね」
勝間「『だったらお前が産めよ』と思いますよ(笑)」