「携帯業界始まって以来の、破壊的な料金だと思います」
そう話すのは、携帯電話業界の事情に詳しいITジャーナリストの三上洋さん。12月3日にNTTドコモが“新プラン”として打ち出した「ahamo(アハモ)」は、月20GB(ギガバイト)までのデータ容量が2,980円(税別)で利用できるというものだ。
携帯電話の料金といえば、広告などで安い価格を提示しても、期間限定のキャンペーン価格だったり、“ネット回線との同時契約”や“○年契約”などの条件付きだったりすることが多かったが……。
「そうした条件はなく、とにかくシンプル。契約手数料もかかりません」(三上さん・以下同)
ソフトバンク傘下のY!mobileや、KDDI傘下のUQmobileのような、大手携帯キャリアの割安ラインである“サブブランド”の同等のプランと比べても、月1,000円以上安い。
「菅義偉首相は就任前から“携帯料金は4割値下げすべき” と発言してきましたから、それに応える目的もあったと思います。同時に、ドコモ側の事情も。ドコモは携帯業界シェア1位ですが、ドコモは若い世代の単身者に弱く、利益率も大手では3位と落ち込んでいました。若い世代のユーザーを取り込むためにこの“プラン”を打ち出したと考えられます」
アハモの価格はLINEモバイルやmineoなど、大手キャリアの通信網を間借りしている格安SIMのプランと比べても安い。
「しかも、格安SIMの場合は昼の時間帯など、多くの人がスマホを使う時間帯は通信速度が遅くなったりすることがありました。一方、アハモのネットワークはドコモ本体と同じですから、サービスエリアもスピードも安定するはずです。しかも、次世代通信の“5G”にも対応するんです」
12月9日、auが新プランを発表した。
「もちろん、時期的にアハモの前から決まっていたんでしょう。これまでよりも十分割安なプランだったのですが、アハモと比べて、『わかりにくい』や『期待外れ』の声が出て、ネットでは“炎上”状態になってしまいました」
今後、各社はアハモに対抗して、料金の値下げやサービスを強化した新プランを打ち出してくるとみられる。さらに、従来のドコモのプランも見直しが行われ、12月中にも発表される見通しだ。
アハモのスタートは3月から。焦らず流れを見極めて、自分にあったものを選ぼう。
「女性自身」2020年12月29日号 掲載