三遊亭窓里の高座名をもつ真打ちの落語家でもある、埼玉県川越市議の小林薫さん(53)。窓里さんは昨年末、「DV・モラルハラスメント男性被害者の会」を立ち上げた。「モラハラ」と略されるモラルハラスメントは、精神的嫌がらせのことでDVの一種。相手に身体的なケガを負わせなくても、ひどい言葉や家事放棄などが離婚の理由と認められる場合がある。窓里さんが妻のDV・モラハラに悩まされた期間は、なんと27年間。最もズシリとこたえたのが言葉の暴力だった。「私の顔を見るたび、『オエーッ!』と吐くマネをするんです。私が家を出ようとしたときに雨が降り出すと、『ざまぁみろ』と言われたり。おまけに挨拶もなし。私が『おはようの挨拶は?』と聞いても、無視されました」転機は、‘09年の春だった。「テレビで『片付けられない女』といった特集があって、これは妻だと思いました。精神的な病いの可能性も報じられていたので、一緒に病院へいこうと持ちかけましたが……」妻は、厳しい顔でこう言い放ったという。「私は(家事を)やりたくなくてやらないだけ。あんたのほうが病気じゃないの」さらに、おととしの選挙をまったく手伝わなかったのを契機に離婚調停へ。調停は、家庭裁判所で5回行われた。身体的暴力の場合と違い、言葉や無視などモラハラは立証が難しいとされる。ところが窓里さんは、望んだとおり、妻に対して「家を明け渡す」という調停を成立させることができた。「3年分の克明な日記の供述と、ゴミ屋敷と化していく家の写真などを撮り続けていたんです。それが証拠として認められました。妻が出ていったあと、息子とゴミを片づけたところ、45リットルの袋で40袋分ありました。預金通帳の残高は17円でした」