サラリーマンに朗報なのが、確定申告で払いすぎた税金を少しでも取り戻す方法があるという。今年の分から、必要経費として認められる範囲が拡大するというのだ。どんな制度なのかオールアバウト税金ガイドの税理士、田中卓也さんに聞いてみた。
「『特定支出控除』といい、会社員が給与所得を計算する際に、一定の経費(特定支出)を必要経費にできる制度のことをいいます。1987年の税制改正で導入され、昨年改正されました。今年の1月1日からその範囲として認められる項目が増えました。控除の対象となるのは、●通勤費、転勤などに伴う転居費、帰宅旅費●資格取得費、研修費●図書費、衣服費、交際費などの勤務必要経費です」
会社が経費として認めた分を合算して、給与所得控除額の2分の1を超えた分が、確定申告で控除できるという仕組みになる。たとえば、年収400万円の人であれば、67万円を超えた分を「特定支出」として申告できる。税理士の受験のために通った専門学校の授業料50万円や、図書費とスーツ代22万円を合わせて77万円だった場合、10万円が控除でき、支払った税金のうち1万円程度が戻る。
控除対象の目安は、年間の給与収入が200万円の人は、経費額が40万円を超えた分が控除対象となる。以下同様に、300万円の人は54万円を超えた分、500万円の人は77万円を超えた分、600万円の人は87万円を超えた分、700万円の人は95万円を超えた分が控除対象となる。
どんな経費が認められるのか、さっそくチェックしてみよう。
【通勤費・新幹線の特急料金は控除の対象に】
認められるのは、電車の特急料金(新幹線も含む)。認められないのは、電車のグリーン車料金と、指定席券。タクシー代。自転車通勤のための自転車購入代、駐輪場代。
【資格取得費・今の仕事に役立つものはOK】
認められるのは、法科大学院の授業料(転職のために通った場合はNG)、専門学校、語学学校の授業料。認められないのは会計大学院の授業料。カルチャースクールの受講料。あくまで「今の仕事で資格を取ると直接役立つので学校に通った」という性質のものでなければ特定支出として認められない。
【図書費・仕事に必要な雑誌や新聞も】
認められるのは、新聞・夕刊紙代。月刊誌・週刊誌代。プレゼン資料を作るための書籍代。新聞・雑誌の定期購読料。認められないのが、タブレットやノートパソコン。携帯電話代。
【衣服費・かつらも植毛もダメ】
認められるのは、仕事で着るためのスーツ代。ワイシャツ、ネクタイ、コート。認められないのは、Tシャツ、ジーンズ、靴、鞄。営業マンの植毛代、かつら代。
【交際費・得意先との接待費は対象に】
認められるのは、得意先との接待費。認められないのは、同僚との飲食代や慶弔費。接待ゴルフの練習費。ただし、得意先との接待費でも、会社に「仕事で必要だった」と認めてもらうための、「特定支出に関する証明の依頼書」が必要となる。用紙は国税庁のHPからダウンロードできる。