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作家・向谷匡史氏の近著『ヤクザ式 最後に勝つ「危機回避術」』(光文社新書)から、ヤクザの情報戦の内実を公開しよう。

ドンパチは情報戦が制する。これがいまの抗争だ。「奴らを見つけ次第、ブッ放せ!」と、目を剥いて幹部が檄(げき)を飛ばしたのは昔の話。

 

情報時代の現在にあっては、敵対組織に関する情報は幹部の愛人宅の住所まで調べてデータ化し、戦端が開かれるやピンポイントで電撃攻撃を仕掛ける。インテリジェンスが一国の安全を大きく左右するように、ヤクザ組織もまた、情報収集能力が戦闘と危機回避において大きくものをいうようになった。

 

ヤクザの情報収集力が一躍注目されたのが、2003年4月の「栃木戦争」だ。栃木県内の運転代行業務をめぐって、住吉会系と弘道会系が対立。話し合いの場が持たれたが、交渉は決裂し、住吉会系が保冷車をバックで弘道会系の事務所に突っ込ませた。

 

世間の耳目を引いたのは、弘道会系の「返し」だ。先制攻撃からわずか30分後、住吉会系の事務所に十数発の弾丸を撃ち込み、それに続いて関連会社と組員宅を襲撃。そして翌日には組幹部の一人を射殺する。

 

これだけの電撃的な報復行動は、平時において情報を徹底収集していなければ不可能で、「ヤクザはここまでやるのか」とメディアは驚愕したものだった。