人生100年時代を自分らしく生きるための手段として「再キャリア(セカンドキャリア)」を選択する人が増えています。子育て中の経験を生かして、再キャリアで成功した人々も多数。ますはしっかりと子どもと向き合うことが、“新しい私”へとつながっていくようです。

 

「娘たちに、私の頑張っている背中を見せたいと思い立ったことが、今の仕事につながっています」

 

司法書士・行政書士の高柳直子さん(56)は、独身時代は大手メーカーに勤務。会社員の夫と結婚したが、仕事が忙しく帰宅は連日深夜であったため、出産後は必然的に専業主婦生活が長くなった。働きたいと思い生命保険の営業の仕事をしたこともあったが、長続きせず。しかし、「今は爪を研ぐ時期かも」と思案を重ね、司法書士という選択にたどり着いたという。

 

法学部だった学生時代には現実的ではなかった資格に44歳にして挑戦することにしたのは、子どもの中学受験がきっかけだ。

 

「娘がやっている算数の問題は難しくて、とても私には教えられない。それでも毎日お弁当を作って送迎する日々のなかで、私も頑張っているところを娘に見せたい! と資格取得を決意しました」

 

次女が塾通いを始めたのを追うように、費用の安い予備校を見つけて申し込みをしたものの、勉強を開始した当初は年齢による記憶力の衰えに落ち込むこともあったという高柳さん。1人だったら諦めてしまったかもしれないと当時を振り返るが、長女は見事志望校に合格。「次はママの番だね」という言葉が励みとなり、高柳さんのやる気はがぜん高まった。

 

「このころテレビをつけたことはなかったです。それくらい母娘で目標に向かっていました」

 

高柳さんは3度目のチャレンジで合格を勝ち取った。

 

「いちばん喜んでくれたのはもちろん娘たちでした」と感慨深げに語る高柳さん。その後、2人の娘はともに東大・東大大学院へと進み、長女は社会人に。一方、高柳さんは司法書士事務所での3年間の修業を経て、独立を果たした。

 

現在は、相続や遺言成年後見など「年齢がプラスに働く案件」の解決に奔走し、正月休みを返上して対応することもあるという多忙な毎日だが、報酬についての考え方はこう決めている。

 

「生きがい半分、やりがいがあれば収入はそこそこでよし、です」