五輪閉会式で話題!NHK明かす「#手話の人」が“ろうの通訳者”だった理由
画像を見る 五輪閉会式生放送のイメージイラスト。ろうの通訳者が手話を行った

 

■ワイプの通訳者と、モニターの横に立つメインの通訳者の違い

 

放送では、メインで映る男性の手話通訳者の他に、画面左上にしばしば女性の通訳者が映るワイプが表示された。この2人にはどのような役割の違いがあるのだろうか?

 

「画面左側のワイプに表示したものは、式典運営側が用意した手話通訳です。組織委員会の橋本聖子会長、IOCのバッハ会長のスピーチの際には、式典運営側が用意した手話通訳が会場の大型モニターに映し出されていました。これを、手話通訳のない総合テレビでご覧いただいている視聴者のために、画面左側に表示したものです。一方、Eテレの番組映像に大きく映った通訳者は、耳の聞こえないろうの通訳者です」(NHK広報局・以下同)

 

普段テレビなどで目にする手話は、耳が聞こえる通訳者によるものがほとんどだが、Eテレの閉会式中継でメインとなって通訳をしたのは“ろうの通訳者”。なぜ今回、ろうの通訳者が選ばれたのだろうか?

 

「これまでの番組制作の経験から、ろう者が手話通訳をすることについて、当事者からのニーズが高いことを感じてきました。Eテレの『ハートネットTV』『ろうを生きる難聴を生きる』では常々、ろうの通訳者にご出演いただいています。今回も同様に依頼しました」

 

手話を第1言語とするろうの通訳者の手話は、いわば手話ネイティブ。ろう者だからわかる、細かなニュアンスや表現があるという。

 

ここで気になるのは、耳が聞こえないろうの通訳者は、どのようにして通訳を行っているのかということだ。

 

「放送時、ろうの通訳者の向かいには、耳の聞こえる手話通訳者で“フィーダー”と呼ばれる方がいました。フィーダーが音声情報を手話に変え、ろうの通訳者はフィーダーの手話をもとに、ろう者により分かりやすい手話にして伝えているのです」

 

また、今回の放送では、3名のろうの通訳者(寺澤英弥さん、戸田康之さん、野口岳史さん)が定期的に交代。ふだんの放送で、キャスターが入れ替わることは珍しく、この様子もネット上では話題になった。

 

「通訳者が情報を適切かつ充分に伝えられる時間の上限が15分~20分であるため、交代をしていました」

 

一般的に同時通訳は非常に集中力を必要とするとされており、手話に限らず外国語を通訳する場合などでも、15分~20分おきに交代するケースが多いとされているのだ。

 

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出典元:

WEB女性自身

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