患者急増に医師が警鐘「オミクロンの後遺症はデルタより深刻」
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■ワクチン接種が後遺症の予防にもつながる

 

3回目ワクチンの接種率が全体で約4割となかなか伸びないなか、長崎大学を中心とする研究チームが、3回目接種による発症予防効果に関する注目すべき報告を行った(3月25日)。

 

全国10都県13カ所の医療機関で新型コロナウイルスの検査を受けた16~64歳の2,000人を対象に、ワクチン接種歴や検査結果(陰性・陽性)のデータを収集し、解析が行われた(期間1月1日~2月28日)。

 

その結果、3回目接種をした場合、オミクロン株の発症予防効果は68.7%あることがわかった。

 

「これは、デルタ株が流行していた時期の、2回目接種による発症予防効果(88.7%)よりは低い数字ですが、インフルエンザワクチンなどと比較しても、十分に発症予防効果があると考えられます」

 

こう語るのは、長崎大学熱帯医学研究所・呼吸器ワクチン疫学分野の森本浩之輔教授。

 

オミクロン株に対しては、2回目接種でも十分とは言えない感染予防効果を、追加接種によって高められることが立証されたのだ。

 

「海外の研究でも、ワクチン接種は発症予防だけではなく、感染後の重症化を予防する効果があることも示されています。接種後の副反応に対する不安の声も多いですが、今回の検証結果からも、3回目のワクチン接種はより広く進められるべきではないでしょうか」(森本教授)

 

国立感染症研究所の推計によると、オミクロン株はすでに6割がBA.2に置き換わり、5月初頭には9割を占めることになると予測されており、さらなる感染拡大も懸念されている。

 

前出の平畑院長はこう語る。

 

「オミクロン株が主流になってからは、ワクチンを2回打った人でも後遺症になる人がかなり増えました。しかし、今のところですが、3回目を打った人が感染後に後遺症になるというケースはまれです。3回目のワクチン接種をすることで、オミクロン株による後遺症が出づらくなる可能性はあるといえます」

 

強い感染力に加え、後遺症リスクも深刻なオミクロン株。その亜種が広がりを見せるなか、当たり前の生活をこれ以上奪われないためにも、けっして油断は禁物だ。

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