沖縄本土復帰50年 集団自決では祖母が祖父に「殺して」とせがんだ
画像を見る 集団自決で生き残った田中さん(右)と、聞取り調査をする宮城さん

 

■米兵にレイプされることは死に匹敵することなのか?

 

「調査をするなかで、集団自決の犠牲者の83%が女性と子どもということがわかって驚きました」

 

さらに、集落各家の家族構成も丹念に調べ上げた。すると、女性と子どものいない家庭では、集団自決がなかった事実も判明した。

 

「それで、いろんな人にぶつけて聞いたんです。『なぜ、こんなに女性が多いのか?』と。すると決まって『強姦されるよりは死んだほうがいいから』という答えが平然と返ってくる。そこで私は、また考えたんです。『本当に女性にとって、レイプされることは死に匹敵することなのか』と。そこからです、女性史の研究を始めたのは」

 

宮城さんは沖縄の歴史や慣習を女性の立場から検証する一方、戦後も、1972年の本土復帰以降もやむことのない、米軍関係者による数多のレイプ事件についても、公文書館に足繁く通うなどして調査を続けている。その過程で彼女が見つけた事件では、生後9カ月の嬰児がレイプ被害にあったという痛ましいものまであった。

 

「大学の講師を務めていたころ、学生にはこう言ってきました。『いったん戦争が起こってしまったら、武力衝突が収まっても、それで平和になったとは限らないのよ』と。いつまでも戦争の傷を引きずった私の祖母のような人たち、戦争で親を亡くした孤児たち、それに、戦後もやまない軍関係者によるレイプの被害者たち……悲劇はずっと続くんです。だから私はいつも『沖縄にはまだ戦後はない』そう言い続けているんです」

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