image

ごはんやパンなど「炭水化物」を控えたらみるみる痩せた−−。そんなダイエットの伝道師、ノンフィクション作家の桐山秀樹さん(享年61)が2月6日急死した。原因は心不全だという。

 

桐山さんといえば、「糖質制限ダイエット」に関する著書や、「おやじダイエット部」の活動で知られる。直前まで仕事を続け、元気な姿が報じられていたことから、〈糖質制限との因果関係はないのか?〉〈急激なダイエットが原因なのでは?〉などと、衝撃が走った。

 

そもそも「糖質制限ダイエット」とは、体に必要な、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質の三大栄養素のうち、ごはんやパン、麺類、じゃがいもなど炭水化物(糖質)を食べない糖尿病患者のための食事療法のことをいう。

 

「糖質制限ダイエット」のメカニズムは、いたってシンプルだ。『ごはん好きでも必ず痩せられる!炭水化物の新常識』(永岡書店)の著者で、臨床栄養協会評議員でもある、東京・秋葉原駅クリニック院長の大和田潔先生が言う。

 

「糖質を取ると体内でブドウ糖になり、血液中を流れるブドウ糖の濃度である血糖値が上がります。血糖値が上がると、すい臓からインスリンが過剰に分泌されます。インスリンは、ブドウ糖を細胞内に取りこむことで血糖値を下げます。一部は脂肪に変わるので、『肥満ホルモン』とも呼ばれています。過剰な糖質の摂取は肥満を招きます」

 

血糖値が高い状態が続くと、血液中のインスリンも高い状態が続き、糖尿病へと突き進む。一方で、食事で取る脂質を少なくすると、「肥満ホルモン」のインスリンが減少。同時にブドウ糖以外のものをエネルギー源にする体に変化する。このためスリムになる、ということだ。

 

薬に頼らなくても血糖値や血圧を正常に戻し、体重が減る効果が得られるメリットがある一方で、「糖質制限ダイエット」をめぐっては、’13年に日本糖尿病学会が、「総エネルギー摂取量を制限せずに炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、食事療法として安全性などの重要な点についてこれを担保するエビデンス(科学的根拠)が不足している」などと指摘している。

 

賛否両論渦巻く「糖質制限ダイエット」だが、簡単に実践できるメリットはある反面、厳しく制限しすぎて食事の楽しみがなくなってリバウンドしたり、体調を崩して途中で挫折してしまう人も多い。そこで、大和田先生に「『ゆるい糖質制限』で無理せず痩せるための6カ条」を教えてもらった。

 

【1】糖質の取りすぎを適正量に戻す「ゆるやかな糖質制限」

1日に食べる炭水化物を半分に減らすだけ。あるいは、朝と昼だけごはんを食べて夜は抜くなど制限はゆるやかに。または運動後だけごはんを食べる。

 

【2】食べないガマンはNG!食べ方のひと工夫で食事を楽しもう

職場の同僚や友人と食事をするときはガマンをしないで食事を楽しむ。食べすぎた分は数日以内に調整すればだいじょうぶ。

 

【3】1日の糖質摂取量を120〜200グラムにする

30〜39歳で一日中デスクワーク中心の女性は1日に175グラムの糖質を取ってよい。主食を減らして低糖質の健康食品を活用しよう。

 

【4】甘い飲料に依存しない!水分補給は水かお茶にする

甘い飲料を飲みすぎると常にブドウ糖を欲しがる糖質依存になる。人工甘味料も控えて。

 

【5】糖質制限+ながら運動でダイエット効果を高める

摂取カロリーを減らすと脂肪とともに筋肉も落ちていき、基礎代謝が低下する。テレビを見ながらスクワットをする「ながら運動」でも十分。

 

【6】血糖値を急上昇させない食べ方で脳に満足感を与える

低糖質、ローカロリーのおかずで満足感を得るとともに、食べる順番を野菜→汁物→肉・魚の順に食べて、ごはんは最後に食べる。

 

「ダイエットを長続きさせるためには、なんといっても食事を楽しみ、ストレスをためないことが大切です」(大和田先生)

 

挫折して食べてしまったら、またダイエットを始めればいい。そのくらいの「ゆるい」気持ちが長続きのコツだ。

関連カテゴリー: