「心を動かされたときに流す涙を『情動の涙』といいます。これは人間だけに備わる特別の機能です。感動の涙を流すことで緊張やストレスに関係する交感神経から、脳がリラックスした状態の副交感神経へとスイッチが切り替わります。たくさん涙を流すほど、ストレスが解消し、心の混乱や怒り、悲しみが改善されます」

 

そう話すのは、東邦大学名誉教授で脳生理学者・医師の有田秀穂先生。涙を流すことは、ストレス解消に大きな効果があるという。そこで、じわじわと感動が広がり静かな涙を誘う、“泣ける”コミックを漫画編集者の三河かおりさんが教えてくれた。

 

・飼い主と犬との感動物語ーー『星守る犬』村上たかし(双葉社)

「ラストシーンで満開のひまわりを見たときに、この物語が『命を譲りつないでいく』ことを描いているのだと気付き、涙があふれてきました」(三河さん・以下同)

 

・名もない市井の女性の深い悲しみーー『この世界の片隅に』こうの史代(双葉社)

「戦争で幸せが崩れ落ちても、立ち上がって焼け野原に一歩を踏み出す主人公すずの強さに心打たれます」

 

・愛し方を知らない母への息子の一途な思いーー『Sunny』松本大洋(小学館)

「母親に買ってもらったニベアクリームをもったいないから使わない主人公・春男に、母親が店にあるだけのニベアクリームを買い与える、第2巻のエピソードがとにかく泣けました」

 

・妻を亡くした悲しみを夫は描き続けるーー『さよならもいわずに』上野顕太郎(エンターブレイン)

「妻の死を作品に描くと編集者に告げる場面で、小さなシミが闇のように広がり、それが主人公の心臓から流れる血であることがわかり手が震えました」

 

・ダムに沈んだ村で家族を待つ少年ーー『水域』漆原友紀(講談社)

「ダムに沈んだ村で水死した少年が家族の帰りを待ち続ける。その声に呼ばれるように家族が集まり、沈んだ村が干上がったダムに姿を現すシーンは圧巻です」

 

・きっと誰も自分のことを知らないーー『チワワちゃん(『チワワちゃん』収録)』岡崎京子(角川書店)

「主人公が、『誰もチワワちゃんのことを知らない』『きっとチワワちゃん自身も自分のことを知らなかったんだろう』と思うシーンにギクリとします」

 

・彼女は何も思い出せなくなってーー『8月に生まれる子供(『ロストハウス』に収録)』大島弓子(白泉社)

「老化してデートの約束も忘れてしまう主人公びわ子に、彼氏の種草くんが、ひ孫の存在すら忘れてしまった曽祖母との思い出を語るシーンが胸に迫ります」

 

・少女時代の友情物語ーー『女の子ものがたり』西原理恵子(小学館)

「貧しくて愚かで二度と戻りたくない“あのころ”へ。『こんなともだち一生できない』と惜別するラストシーンに涙」

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