これといった原因はないのに最近、気分がうつうつする、体調が悪い、ということはないだろうか?とくに春先になるとこんな症状になる人が増えてくる。ひょっとしたらそれは自律神経の乱れかも……。

 

そこで自律神経とはそもそもどんなものなのか、東急病院健康管理センター所長・同病院心療内科医長の伊藤克人先生に教えていただいた。

 

自律神経とは、内臓や血管、分泌腺などをコントロールし、心臓の動き、血流や体温調節、食べ物の消化など体の動きを維持する神経。自分の意志とは関係のないところで働いているので、自分の意思ではコントロールできない。そのため、バランスを崩すと全身いたるところにさまざまな不調があらわれるのだ。

 

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、常に状況に合わせてシーソーのようにどちらかに傾いている。睡眠中や日中のリラックスしているときは副交感神経優位の休息モード、活動中や運動で体を動かしているときなどは交感神経優位の活動モードに切り替わるのが正常だ。

 

しかし、不規則な生活や過度のストレス状態が続くとスイッチがうまく切り替わらなくなり、自律神経の中枢である視床下部が機能低下を起こす。すると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が働かなければいけないときに働かず、逆に副交感神経が働かなくていいときに働いてしまい体に不調が起きてくる。その不調の症状はさまざまだが、その症状が一時的ではなく継続して続き、生活に支障をきたすようになるのが『自律神経失調症』という病気だ。

 

自律神経失調症の症状は一定しておらず、個人差も大きいのが特徴。性格、体質、その日の気分に影響される。体の器官に現れる身体症状としては、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、胃痛、下痢など。精神状態は、不眠、イライラ、不安、落ち込み、集中力の低下。全身症状は倦怠感、微熱、だるさなど。しかしーーー。

 

「医療機関で検査しても内臓や器官などに異常が見つからないため、ドクターショッピングを繰り返している人も多いのです。不調の原因が見つからないときは心療内科で受診を」(伊藤先生)

 

ちなみに自律神経失調症になりやすいのは、性格的にくよくよ思い悩んでしまう、几帳面、依存心が強い、気持ちの切り替えが下手、周囲の目が気になる。肩書に弱い人、などといわれている。身体的、精神的な不調が続いたら、早めに心療内科や精神科などの医療機関で受診することが大切だ。

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