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「従来のがん保険は、診断一時金、入院給付金、手術一時金を柱に構成されていて、診断一時金が100万円、入院給付金が日額1万円、手術一時金が50万円というタイプが多いと思います。これでは、最新のがん治療に対応できない。見直しが必要だと思います」

 

こう話すのは『よい保険・悪い保険』シリーズ(宝島社)の監修などを手掛けるファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。いまや、がん治療は、手術を含む入院治療から、通院治療に大きく変化している。

 

「がん治療の劇的な進歩により、がんと診断されても、長生きできる人が増えている。平均入院日数は’02年35.7日から’17年には17.1日に半減。治療法も、手術だけでなく、放射線治療、抗がん剤治療の割合が大きくなり、通院が主体となっている。いま、がん保険に入るとしたら、こうした医療の変化をカバーしている保険に入らなければ、入り損になりかねません。とくに’00年以前のがん保険は、手術中心の保障が中心なので、抗がん剤や放射線のみの治療では、診断一時金しか受け取れないこともあるのです」(長尾さん・以下同)

 

こうしたことをふまえて、最新のがん保険の中から厳選してもらったのが、次の「いま入るべきがん保険ベスト5」だ。

 

【第1位】チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムDX」

 

長尾さんがトップの評価を下したのが、がんの治療をメインとした「終身ガン治療保険プレミアムDX」だ。

 

「特徴は、いままでのがん保険ではカバーされていなかった抗がん剤治療、ホルモン剤治療、放射線治療を主契約にした保険であることです。こうした治療給付金という概念は、20年前のがん保険にはまったくありませんでした。これなら、長期の抗がん剤治療に対しても、経済的な負担が少なくてすみます」

 

【第2位】SBI損保「SBI損保のがん保険」(自由診療タイプ)

 

自由診療とは、いまがんにかかった人の中で希望者が増えている、健康保険が適用にならない医学的治療のこと。「温熱療法」「免疫療法」「がんゲノム医療」「未承認薬」などがある。

 

「ゲノムとは、染色体に含まれるすべての遺伝子と遺伝の情報を指します。この遺伝子によって、病気のなりやすさ、薬の効き方、副作用などに影響があると考えられています。この遺伝子について解析するために、プレシジョン検査を行い、そこから得られたデータで治療を行うのががんゲノム医療。検査にかかる費用は40万〜100万円程度です」

 

従来のがん保険では、公的保険外のこうした治療は保障の対象にならなかった。

 

「『SBI損保のがん保険(自由診療タイプ)』は、まず入院費を含むがん治療にかかった公的保険対象の医療費の自己負担分が実質0円になることが特徴。入院治療費は全額補償で、通院治療費は1,000万円までの補償がある。それに加えて、自由診療の費用も全額支給されます。ただ5年更新タイプなので、更新時には年齢に応じて保険料がアップすることは留意してください」

 

なお、第1位のチューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムDX」も、自由診療のうち、所定の抗がん剤治療などは、かかった額の2倍が支払われるしくみだ。

 

【第3位】FWD富士生命「新がんベスト・ゴールドα」

 

「特徴は、治療費ではなく、がんになったときに一括で受け取れる診断一時金を重視したものだということ。診断一時金を最高300万円まで設定できるため、その後の治療費をここから捻出することもできます。この診断一時金を2年に1回を限度に、再発でも転移でも、回数無制限に受け取ることができるのも心強い(2回目以降の支払いは、入院・通院が要件)。なお、治療費にも備えることができる『がん治療給付金特約』もつけることが可能です」

 

診断一時金重視の保険は、いっぺんに支払われたお金をいかに計画的に使うことができるかが大切になるという。

 

【第4位】セコム損保「自由診療保険メディコム」

 

「これは前出の自由診療に特化して対応した保険。自由診療でかかった治療費が1,000万円まで、実費で支払われます。また公的保険治療も高額療養費の有無にかかわらず、かかった自己負担額(通常3割)で戻ってきます」

 

【第5位】ライフネット生命「がん保険ダブルエール」

 

「がんに罹患したら、入院・通院にかかわらず、月1回10万円(回数無制限)の「治療サポート給付金」を受け取ることができるのが特徴。がんになると休職するだけでなく、退職を余儀なくされる人も多い。また放射線治療などは、復職した後、会社を休んでいくケースも出てきます。そう考えると、治療費だけでなく、闘病中の生活費も考えなければなりません。そこにスポットを当てた保険です」

 

今回、長尾さんが選んだ5つのがん保険は、診断一時金と治療給付金のどちらかに特化したもの、自由診療に対応しているかが重視されている。

 

「現在、さまざまなタイプのがん保険が販売されていますが、入院と手術は高額療養費制度などの公的保証がカバーしてくれます。加入するなら、その後の治療をカバーしてくれることが大切。そのためには、診断一時金を手厚くするか、治療給付金や自由診療の治療費に重きを置くか、がん保険に対する考え方で、その人のベストの保険が決まってくると思います」

 

「女性自身」2020年3月3日号 掲載

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