「長引くコロナ禍において、免疫力を高め、気分転換を図るためにも、バスタイムを有効活用しましょう。シャワーだけで済ませるのではなく、お湯をはった湯船にきちんと浸かることで、心と体にたくさんのメリットが得られます」
温泉療法専門医で東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉先生はそう話す。早坂先生は入浴の健康効果を20年にわたり研究している入浴法のエキスパートだ。
人間には自律神経があり、アクティブモードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」がバランスを取って人間を生かしてくれている。衣服を身に着けない浴室では、心と体が解放的になりやすい。プライベートな密室空間にいることで、気持ちが落ち着き、気分転換も図れる。
しかも、水中では体重が約10分の1になるため、入浴での浮力作用により重力から解放される。筋肉や関節の緊張が緩めば、さらにリラックスして副交感神経が優位になるのだ。
「このように、自律神経に働きかけるという点は、瞑想法の一つで企業などでも導入されている『マインドフルネス』に通ずるところがあります。深い呼吸をしながら心身をリラックスさせ、自律神経を整え、ストレス解消などの効果が得られるマインドフルネスを入浴のシーンに取り入れる、いわば『マインドフロ(風呂)ネス』として私は入浴習慣をおすすめしています」
副交感神経が活発に働きだすと、昼間に交感神経が活発化して酷使された心身の機能を修復してくれる。さらに、副交感神経が優位だと、血管が拡張して血流が促進される。その結果、免疫力がアップするのだ。感染拡大が予断を許さない状況の新型コロナウイルス対策としてもぜひ取り入れたい。
湯船では浮力作用が働いているため、水中では体重が約10分の1になる。重力から解放されるため、陸上ではやりにくい動きができる。そこで、水圧がちょうどいい負荷になる「湯船でできるプチ筋トレ」を紹介。
【太ももを鍛える・自転車こぎ】
背中をバスタブから離し、背すじを伸ばした状態で、自転車をこぐイメージで足を前後に回す。※20回
【脚全体を鍛える・足首曲げ伸ばし】
両脚をまっすぐに伸ばし、足首を伸ばす→曲げるを繰り返す。※10回
【上腕、胸を鍛える・合掌ポーズ】
肩〜肘がお湯に浸かった状態で、両腕を開き、勢いよく閉じる。※10回
「足を上げて動かす運動や腰を浮かせる運動などは、陸上よりやりやすくなります。また、水中で動くことにより、水の抵抗を生かしたプチ筋トレにもなります」(早坂先生)
ゆったりした気分で、入浴の際にぜひやってみて!
「女性自身」2020年12月15日号 掲載