荻原博子が数字で比較「日本がスペインのようになる可能性」

「結論から言うと、目下、日本がスペインのようになる可能性はゼロです。その理由は日本には『稼ぐ力』と『資産』があるからです。昨年の日本の実質GDP(国内総生産)は、507兆円。スペインの実質GDPは67兆円です。一人当たりの実質GDPとして、それぞれを人口で割ると日本は約400万円、スペインは約145万円。日本は一人当たり約2.7倍の稼ぐ力があります」

 

そう解説するのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。財政不安が急速に高まっているスペイン。日本もスペイン同様、借金の多さが問題に挙げられる。しかし、荻原さんは日本がスペインのような状況になり、国家破綻の危機に陥る可能性はないと分析する。’11年の日本の『政府総債務残高』は約1千76兆円。スペインは約73兆円。数字だけを見ると、やはり日本は巨額の負債を抱えているように見える。だが、日本には多くの『資産』があるのだ。

 

「財務省が発表している『国の財務書類』によると、貸付金や有価証券など625兆円もの資産があるとのことです(’10年度末時点)。つまり実質的な負債は約450兆円。日本は507兆円ものGDPがありますから、1年間の『稼ぎ』の9割ほどで借金を返済できてしまう計算もできます。さらに、1千兆円を超える日本の負債のうち約800兆円を占めるのが国債ですが、この8割強を保有しているのは国内の金融機関なので、安全な借金です」(荻原さん)

 

荻原さんによれば、スペインは欧州中央銀行に大手銀行バンキアの救済を申し出たが、これはスペインに資産がないことの証明だという。スペインには、たった一つの銀行に投入するお金もなかったのだ。

 

「日本政府は東電を救うために、ぽんと1兆円を払いました。日本にとって1兆円なんてポケットマネーのようなもの。そう思えるほど、日本は多くの資産がある金持ちの国なんです。日本が貧乏だなんて思っているのは日本人だけ。そう思わせないと増税できないから、政府がプロパガンタしているんです」

経済ジャーナリスト
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