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コロナ禍での外出自粛生活中に、家の片づけや断捨離に励んだ人は多かった。そうして出た不用品には多くの古着が。東京都八王子市では、4月に回収した古着が昨年と比べて約25%も増え、その処分に困る問題が起きている。

 

そんな古着の有効活用の選択として、不用になったファッションアイテムを寄付できる「断チャリ」という新しい仕組みが注目されている。そんな「断チャリ」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■“節税・寄付で社会貢献・おうちスッキリ”と一石三鳥の「断チャリ」

 

断チャリとは、断捨離とチャリティを合わせた造語。買い物で社会貢献できる通販サイト「ファッションチャリティプロジェクト(以下、FCP)」と、ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」がコラボして始めました。寄付品をFCPサイトで販売し、その売り上げを寄付する仕組みです。

 

断チャリはどんな古着でも受け付けるものではありません。FCPサイトで売れないと寄付につながらないので、ブランドリストにある商品で、ダメージが少ないことなどが条件です。

 

断チャリ可能な商品がある方は、まず、寄付先の自治体を決めます。第1弾は、寄付を新型コロナウイルス対策に使う5つの自治体、東京都世田谷区、港区、中野区、羽村市、千葉県南房総市が対象。FCPサイトで選んで申し込みます。

 

ここまで手続きすれば、あとは寄付品をFCPに送るだけ。それが売れれば、FCPから自治体へと、自動的に寄付されます。いまなら、寄付額の10%をFCPが上乗せしてくれるので、寄付効果も大きくなるでしょう。

 

こうした断チャリはふるさと納税の一種です。寄付した方は、2,000円を超える寄付額が控除されるので、節税につながります(控除に年間上限あり)。不用品を処分して家がスッキリ。寄付で社会貢献できて、さらに節税になる。一石三鳥の仕組みといえるでしょう。

 

また、断チャリは自治体向けのふるさと納税だけでなく、さまざまな社会貢献活動を行うNPOを、直接支援することもできます。先ほどのふるさと納税と同様、寄付品チェックをしてから、寄付するNPOを選びます。

 

現在、寄付できるNPOは22団体。子どもの貧困や若者の就労支援、犬の殺処分ゼロなど、さまざまな活動があるので、共感できる団体が見つかるでしょう。

 

その後、寄付品送付以降の流れは、先のふるさと納税と同じです。寄付先のNPOは「寄付金控除」の対象です。寄付額の最大50%が控除されるので、こちらも節税ができます。

 

「寄付白書2017」によると、日本全体の個人寄付総額は’10年の4,874億円から、’16年には7,756億円と、7年間で約1.6倍になっています。寄付文化が、少しずつ根付いてきた証しでしょう。

 

日本中が、新型コロナウイルスに被災したようなこの時期を、みんなで助け合って乗り越えていくためにも、さらにもう一段、寄付が身近になってほしいと思います。

 

「女性自身」2020年7月7日号 掲載

経済ジャーナリスト

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