2,000万円必要といわれる“老後のお金”問題を解決するために、資産の切り札である「持ち家」を活用する手段を紹介。“老後の理想の暮らし”を思い描きながら、持ち家の活用術について考えてみようーー。
「年をとったら家をバリアフリーにリフォームしたい」「将来は高齢者住宅に住み替えたい」などと、セカンドライフの希望はたくさんあるが、ネックとなるのが“お金”。特にコロナ禍の今、収入が減少して老後の資金計画が狂ったという人も少なくない。
「定年後、主な収入源は公的年金のみとなってしまいます。手元資金を使ってリフォームや建て替え、住み替えをするとその後の生活に支障をきたしてしまうことがあります。また、保有している資産は主にマイホームだけ、という人は意外と多く、“持ち家”を活用してセカンドライフの希望をかなえる方法に注目が集まっています」
そう語るのは、ファイナンシャルプランナーの菱田雅生さん。自宅を売却する意思はなく、子どもに家を残したいという人は、賃貸で家を貸して、家賃収入を得る方法がある。
【賃貸のしくみ】
(1)利用者が不動産会社、移住・住みかえ支援機構などに自宅の賃料査定を依頼
(2)不動産会社、移住・住みかえ支援機構などが入居者を募集する
(3)入居者が、不動産会社、移住・住みかえ支援機構などに家賃を支払う。または入居者が利用者に直接家賃を支払う
(4)不動産会社、移住・住みかえ支援機構などが、利用者に管理手数料を差し引いた賃料を支払う
【賃貸が向いている人】
・高齢者住宅に引っ越しても、自宅は手放したくない
【賃貸のメリット】
・持ち家を賃貸で貸すので、毎月賃料収入が得られる
【賃貸のデメリット】
・空き家になると賃料収入が得られなくなるリスクがある
・固定資産税を払い続ける
・メンテナンス費用がかかる
持ち家を活用した、セカンドライフの夢のかなえ方を菱田さんに教えてもらった。
【ケース】子どもに家を残したいC子さん(70代後半)
一軒家に一人で暮らすC子さんは、高齢者施設に移り住みたいと考えていた。
「家は子どもに残したいので、できれば売りたくないのですが、高齢者施設に入るお金がどうしても足りない。入居一時金がいらない『サービス付き高齢者向け住宅』でも、月々の費用が、あと5万円ぐらい足りないので、いい方法はないか考えています」(C子さん)
自宅は子どもに残したい、でも自分は高齢者施設に移りたいという人には、自宅を賃貸で貸し出す方法を菱田さんはお勧めする。
「C子さんの年金では、サービス付き高齢者向け住宅に毎月支払う費用が5〜10万円ほど足りません。自宅を賃貸として貸し出して、家賃収入をプラスすると、入居が可能になります。若い世代は不動産を持たない人が増えていますので、ファミリー向けに戸建てはニーズがあります」(菱田さん)
賃貸住宅には空き家になったときに、家賃収入が得られなくなる「空き家リスク」があるが、一般社団法人移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」は、空室が発生しても家賃が保証される。利用の対象となる住宅は、住宅ローンが完済して、かつ耐震基準を満たしているなどの条件があるのでチェックしてみよう。
「女性自身」2020年11月17日号 掲載