「どの家電チェーンも今月の来客数と売り上げはともに前年比5割減の予想がされています。今回の反動が長引くようだと、大手チェーンでも体力が続かなければ他社との統合、倒産の危機を迎える恐れもあります」(経済誌記者)

 

早くも消費税8%の引き上げが、日本経済の未来に影を落としている。

 

1日から多くの店舗では、以前の消費税分も含めた「総価格表示」から消費税を含まない「本体価格表示」に変更されている。表示の仕方が変わったことで起きているのが、便乗値上げだという。消費者庁の相談窓口には早くもクレームが殺到しているのだ。

 

「消費者からは『これまで総額200円だったコーヒーが総額220円になっていました』という相談を受けました。消費税の5%から8%への増税では、実質3%の値上げになるのですが、このクレームの例では、10%の値上げになっています」(相談窓口担当者)

 

新しい価格表示に対応することさえできずに、ひっそりと廃業していたスーパーもある。新潟市を中心に2店舗のスーパーを展開していた河治屋。創業60年近い老舗だ。

 

「自己破産した原因は、資金繰りに行き詰まり、増税に対応できる新型のレジに買い換えることができなかったからです。消費税の増税が引き金となって、自己破産した企業は、この河治屋がはじめてのことだそうです」(地元紙記者)

 

多くの企業が増税対応に追われるなか、レジや包装機などを扱う株式会社・寺岡精工は業績を伸ばしている。同社の広報担当者はこう話す。

 

「今回の特需でいうなら、スーパーの裏側で活躍しているラベルプリンターという機械が売れました。これは、特に精肉、魚、惣菜など店舗独自でパックする商品の表示ラベルを作成するものです。今年1~3月期の決算では前年比で販売台数が全体で2.5倍になりました」

 

まれに好調な企業もあるが、経済評論家の森永卓郎さんは今後の日本経済をこう予測する。

 

「多くのエコノミストや政府関係者は、4~6月は駆け込み需要の反動があるものの、7月以降は盛り返して、景気回復の傾向が続くと楽観的な予想をしています。しかし、私は今回の増税をきっかけに、日本はリーマン・ショック並みの打撃を受けると思います。国全体では、約15兆円もの金額が吹き飛ぶ計算です」

 

消費税8%が生み出す「景気崩壊の現場」はもう、あなたのそばに忍び寄っている。

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