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コロナ禍で困窮する人が増えている。厚生労働省は、コロナ関連の解雇や雇い止めが10万人を超えたと発表したが、これは氷山の一角だ(’21年4月8日)。パートやアルバイトのシフトが5割以上減り、しかも休業手当を受けていない「実質的失業者」が146万人という推計もある(’21年3月・野村総合研究所)。

 

なかでも、住宅ローンの返済に困る人が目立つ。金融機関による返済の減額や利息のみに抑えるなどの救済措置は、’20年3月〜’21年2月末の1年間で約5万件に達した(金融庁)。そんな、コロナ禍で困窮する人に役立つはずの国の支援策は縮小の方向に進んでいるという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■税金の使い道を間違っていたのでは

 

新型コロナ感染の収束は見えません。ますます困窮する方が増えると思いますが、国の支援策はなぜか縮小の方向に進んでいます。

 

たとえば「雇用調整助成金」。企業が従業員に支払う休業手当を国が補助する仕組みですが、現在の日額上限1万5,000円から、5〜6月は1万3,500円に減額されます(まん延防止等重点措置の対象エリアを除く)。

 

また、企業から休業手当を受けていない方が対象の「休業支援金・給付金」も、日額上限1万1,000円から5月以降は9,900円に引き下げられます。

 

さらに、離職・廃業者などへの家賃補助「住宅確保給付金」は最大9カ月のところを、現在は特例的に最大12カ月まで延長されていますが、対象は’20年度中に申請した人。これから支援が必要になって申請する方は、最大12カ月の特例措置は受けられません。

 

’20年は納税の猶予もありましたが、猶予は原則1年間で’21年2月1日に受付け終了。困窮が続く方は猶予を延長できますが、’21年度は延滞料が年1%かかります。通常、延滞料は年8.8%ですが、’20年度はゼロでした。

 

頼みの綱のワクチン接種も一向に進みません。4月12日に高齢者の接種が始まりましたが、医療従事者で2回接種が終わったのはわずか1割(4月9日・厚生労働省)。医療従事者の接種が終わる前に高齢者の接種を始めるのは“予定どおりやっている感の演出”とやゆされても仕方ないでしょう。

 

政府は’20年度の第1次補正予算で、「Go To キャンペーン」に約1兆7,000億円を計上しましたが、「国内ワクチン開発支援」には100億円。いま何に税金を使うべきか、見誤っていたのではないでしょうか。

 

デジタル庁もこども庁も大切でしょう。ですが、いま困窮する方や子どもたちへの支援を第一に考えてほしい。特に生活の要である「住宅確保給付金」などの家賃補助は、拡充してほしいものです。

 

いま生活に困っている方は、無利子で借りられる「緊急小口資金」(20万円まで)や「総合支援資金」(60万円まで)を利用してください。総合支援資金は再貸し付けもできます。「生活保護」など利用できる制度を総動員して、なんとかいまを乗り切ってください。

 

「女性自身」2021年5月4日号 掲載

経済ジャーナリスト

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