続々検出される変異株…抗体カクテル療法の効果への影響も
画像を見る 【図解】これまでに確認された主な変異株

 

■これまでに確認された主な変異株

 

【従来株】最初に確認された地域:中国/感染力の目安(従来株比):1
【アルファ株】WHOの区分:VOC/最初に確認された地域:イギリス/感染力の目安(従来株比):1.32
【ベータ株】WHOの区分:VOC/最初に確認された地域:南アフリカ/感染力の目安(従来株比):1.5
【ガンマ株】WHOの区分:VOC/最初に確認された地域:ブラジル/感染力の目安(従来株比):1.4~2.2
【デルタ株】WHOの区分:VOC/最初に確認された地域:インド/感染力の目安(従来株比):2
【ラムダ株】WHOの区分:VOI/最初に確認された地域:ペルー/感染力の目安(従来株比):デルタ株並みか
【新しいデルタ株】最初に確認された地域:日本国内由来か/感染力の目安(従来株比):デルタ株以上か
【ミュー株】WHOの区分:VOI/最初に確認された地域:コロンビア/感染力の目安(従来株比):強力か
【新たな変異株】最初に確認された地域:南アフリカ/感染力の目安(従来株比):強力か

 

このように変異株の検出が相次いでいるが、そもそも変異株とはどうやってできるものなのだろう。渡航医学が専門の関西福祉大学教授・勝田吉彰さんは、感染症の流行地であれば変異が起きるのは自然の摂理だと話す。

 

「ウイルスが空気中で勝手に増えたりすることはありません。感染した人間の体内で、コロナウイルスがコピーされるのです。しかし、コロナウイルスは約3万個ものアミノ酸の配列によって構成されていますから、1個、2個のコピーミスは頻繁に起こります。このミスによって遺伝子が変化したものが変異株です。変異株は2週間に1つのペースで出現するといわれています」

 

それらは本来のウイルスとは異なるネジで作られた、いわば不良品。ほとんどは人に感染することもなく消滅してしまう。

 

「しかしごくまれに、従来型よりも“高性能”になってしまうことがある。そのうち、感染拡大やワクチン効果減少などの影響に関して警戒・注視が必要とされるものが、WHOでVOCやVOIに分類されるような変異株です」(勝田さん)

 

複数の変異株に同時に感染してしまうことが原因となって、より強毒化したウイルスが出現することもあると話すのは、東北大学災害科学国際研究所の医師・児玉栄一さんだ。

 

「たとえばX型とY型のウイルスに同時に感染したとき、XY型という、それぞれの型の特性を引き継いだ、病原性の強い変異株ができあがることがあります。一定の地域で、複数のウイルス株が一気に感染拡大するようなケースが起きた場合、可能性は低いですが起こりえることです」

 

前出の上さんは、こうした“ウイルスの進化”によって、ワクチンの効果が弱まったり、複数回にわたって感染してしまうリスクが高まることを懸念する。

 

「従来型のコロナウイルスにはファイザー製のワクチンによる予防率が95%もあったところ、デルタ株に対しては約40%にとどまると発表している研究もあります。現状では重症化や死に至るケースを抑制するワクチン効果はありますが、新たな変異株や、既存の変異株のさらなる変異によって、その効果が発揮できなくなる可能性もあるのです」

 

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