「寝入りばな、私たちはベッドの上で、いちばん楽な体勢を無意識にとろうとします。楽というのは、弱っているところをかばっている姿勢。ですから、ベッドに入ってすぐの寝相を見れば、体のどこが弱っているかがわかるんです」
こう話すのは、50年前に、日本のヨガの草分け的存在である沖ヨガの沖正弘先生に弟子入り、現在はNPO法人・沖ヨガ協会理事として活躍する北山佐和子さん。
「あれは私が入門したてのころでした。静岡県三島の沖ヨガ道場でのこと。夜、多くの講習生が寝ているところに沖先生に連れられて行って『あの寝相は肝臓が弱っている』『この寝相は腰が悪い』など、目の前で実例を示しながら教えていただきました」
その沖先生の教えをベースに、北山さんがまとめたものが、「寝相でわかる病気のサイン」だ。
「たとえば丸まって寝る人は、全身に疲労がたまっている証拠。これ以上、自分のエネルギーを外に逃さないように丸まってしまうんです」
そんな寝相が教える病気のサインを北山さんが教えてくれた。
【腕枕、手を頭に置いて寝る】
「手を頭に置いたり、頭の下に置いて(腕枕で)寝るのは、無意識に首回りが楽になるような姿勢。肩や首のこりが深刻です。頭への血流が悪くなり、片頭痛の原因にもなります」(北山さん・以下同)
寝る前に、肩甲骨を上げ下げする運動を数分するのが効果的とか。
【あおむけで両足を曲げ、おなかに手を当てる】
「日本語では治療することを手当てといいますが、まさに寝相でも、手を当てている部分が弱っていることがよくあります。おなかに手を当てるときは、腸の働きが悪くなっていて、便秘や下痢を起こしがち。また胃が弱っていて、胃腸炎の恐れがあります。このように胃腸が弱っているときは、立て膝で寝るのが楽なので、自然と、同時に両足を縦に曲げる寝相が多いのも特徴です。こんな寝相のときは、冷たいものや甘いものを避け、よくかんで食事をすることをすすめます」
【足を組んで寝る】
「足を組むと楽なのは、内臓の位置がずれて、その臓器にストレスがかかっている状態です。右足を上にして寝ると楽なときは、飲みすぎなどで肝臓が腫れていることがあります。そのまま放置すると、肝臓疾患の恐れがあるので、飲酒を減らし、れんこんやシジミなど、肝臓をいたわる食材を多くとるようにしてください。反対に左足を上にしているときは、胃が疲れています。食べすぎに注意して、脂っこい物を控えるようにしてください」
北川さんによれば、もっとも健康的な寝相は、あおむけで手足を軽く開いた大の字。
「でも無理をしてこの寝相をしても体の不調が治るわけではありません。まずは自分の寝相のクセを知って、体の不調をケアすることで、自然と、あおむけ大の字で寝られるようになるんです」
あなたも横になって、いちばん楽な体勢を確認してみて。意外な病気のサインが出ているかも。