肩こり、頭痛だけじゃない…医師警鐘「“鼻の奥の炎症”が認知症を招く」
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■炎症物質が血液によって全身に運ばれてしまう

 

「上咽頭に慢性的な炎症が起こっていると、そこで作られた炎症物質が血液に乗って全身を駆け巡ります。すると、腎臓や腸など体のほかの臓器でも炎症を引き起こしてしまうことに。また、慢性上咽頭炎の特徴は、血がたまる『うっ血』とむくみを引き起こすことですが、上咽頭には、自律神経をつかさどる迷走神経の末端が分布しています。炎症に伴う炎症性サイトカインで迷走神経が刺激されると、自律神経が乱れ、慢性疲労や倦怠感、集中力の低下などが起こることも。さらに、慢性上咽頭炎の患者さんには、上咽頭の近くを通るリンパ液の流れが悪くなっているケースも多い。リンパ液は脳の老廃物などを洗い流す排せつの役目を担っており、停滞すると脳の機能異常をきたし、そこから全身症状が出てきてしまうのです」

 

堀田先生の話によると、慢性上咽頭炎は、認知機能の低下とも深く関わっている可能性があるのだという。

 

認知症の6割以上を占めるアルツハイマー型は、脳内に蓄積する「アミロイドβ」というタンパク質の「ゴミ」が発症の原因のひとつとされている。

 

「脳の中には、脳脊髄液という液体が流れアミロイドβなどの老廃物を洗い流します。とくに睡眠中は脳のグリア細胞が縮むことで脳脊髄液がスムーズに流れ、しっかり洗い流してくれるのです。ところが慢性上咽頭炎になると自律神経が乱れ、睡眠の質も低下。脳のゴミをきちんと洗い出せなくなってしまいます」

 

こうしたことから、慢性上咽頭炎が、認知機能低下のリスク要因になるかもしれないのだ。

 

堀田先生には次のような実体験があるという。

 

「93歳になる私の母は、3年ほど前から記憶力が低下し、話す内容が理解できないものだったりと、認知症の初期症状が見られました。そこで、母に慢性上咽頭炎の治療法で、塩化亜鉛溶液に浸した綿棒で上咽頭を刺激する『EAT』(上咽頭擦過療法)を週4回ほど行っていたところ、最近ではめっきり記憶力も改善し、変なことを口にすることも少なくなりました。上咽頭のうっ血が解消され、同時にこの部位のリンパ管の詰まりが解除されたためだと考えられます。脳の老廃物の排出がスムーズになり、脳細胞の機能回復につながったのかもしれません」

 

慢性上咽頭炎の治療には「EAT」が効果的だが、強い痛みを伴う。日々の上咽頭のセルフケアを心がけて、ひどい炎症を起こさないようにすることが重要だ。

 

「鼻から吸い込まれたウイルスや細菌などの病原体、ほこりや花粉などの炎症物質などを洗い流すには鼻うがいが有効です。0.9%濃度の生理食塩水を自分でつくってもいいですし、市販の鼻うがいキットを使ってもいいでしょう。また、口呼吸を避けることも大切。口呼吸では、鼻呼吸と違って加湿、加温されていない空気が体内に入ってきます。その一部が上咽頭に入り込み、炎症を起こす原因になってしまうのです。とくに睡眠時は口が開いた状態にならないように市販の『口テープ』などをするのが効果的です。さらに、就寝時に首から背中を温めると血行がよくなり、うっ血の改善につながります。電子レンジで温める温熱クッションや湯たんぽを使うといいでしょう」

 

ちょっとした不調だけでなく、認知症リスクにまで関係する上咽頭。オミクロン株がピークアウトしても、コンディション維持に努めることがとても大切だ。

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