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老後資金問題に、まさに青天のへきれきともいえたコロナ禍。いつの間にやら家計は火の車! そんな状況の人でも、焦って投資や保険に手を出すのは悪手かも。甘い言葉につられないよう、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれました――。

 

■金利3%以上ならインチキを疑う目を持つ

 

’19年に「老後2,000万円不足問題」が注目されました。これは総務省の家計調査(’17年)から、高齢世帯の平均収入と平均支出を抜き出し、その差額、月約5万5,000円×12カ月×30年を単純に計算し、「公的年金だけでは2,000万円不足する」と指摘するものでした。

 

これらはあくまでも平均値で、しかも高齢になるほど支出が減ることなども考慮されていない、ひとつの目安にすぎません。当てはまらない方も多いのですが、数字だけが独り歩きし、投資の必要性をアピールするために利用されてきました。

 

いまも「投資は必須」と語る専門家もいますが、だれがコロナショックを予測できたでしょう。それほど現代は、先行き不透明で予測不可能です。そんななか、リスクのある投資で虎の子の老後資金を失わないように『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)を書きましたが、本誌では、特にだまされやすいセールストークの裏側を考えていきましょう。

 

【分散投資で、リスクは回避できます】

分散投資はよく卵にたとえられます。「ひとつのカゴに入れておくと落ちたら全部割れてしまうが、いくつかに分けておけば落ちるカゴも残るカゴもある」から安心だというのです。しかし、リーマンショック級のリスクが来たら、分けたカゴすべてが落ちてしまうことも。卵を守りたければ、落ちても割れないゆで卵にしておくことです。つまり、現金化して貯金すること。キャッシュがいちばん強いのです。

 

【特別な高金利商品です】

いまの時代、高金利には注意が必要です。1%以上の金利がつく商品には“カラクリ”があり、3%以上なら“インチキ”だと疑う目を持ちましょう。

 

たとえば「定期預金金利が1%」という商品はほとんど、同時に投資信託を契約することが条件。つまり、投資信託と定期預金のセット商品です。

 

しかも、1%の定期預金金利は1カ月だけということも。100万円預けて利率1%なら利息は1万円ですが、それは1年ものの場合。1カ月ものなら利息はわずか800円余りで、2カ月目からは通常の金利に戻る、これがカラクリです。

 

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経済ジャーナリスト

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