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コロナ禍にロシアの軍事侵攻と、最近は気がめいるニュースばかり。「たまには旅行に」とも言えない状況だが、もし別荘があれば、他人との接触も少なく安心して気分転換ができそうだ。とはいえ、別荘なんて庶民とは無縁! いえ、そう思っていたのはひと昔前で、最近ではサブスクなど手軽に利用できる別荘やセカンドハウスが増えているという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■定額制ホテルも登場で変わる旅行の形

 

SANU 2nd Homeは自然豊かな場所に山小屋風のキャビンがいくつかあり、月額5万5,000円で会員になれば、どこにでも何度でも宿泊できる“別荘のサブスク”です。現在は長野県の白樺湖や山梨県の八ヶ岳などにキャビンがあり、今春、長野県北軽井沢などにもオープン予定です。

 

料金は定額制ですが、金土日と祝日、祝前日の宿泊には1泊5,500円の追加料金がかかるのが玉にキズ。どの施設もWi-Fi完備なので、自然の中でリモートワークしたい方にもおすすめです。宿泊は4人までOK。月会費のコストは、何人で何回利用するかによりますが、現在、会員登録が順番待ちという人気ぶりです。

 

次は、月4万4,000円で「定額全国住み放題」をうたうADDressです。全国のオーナーが提供する空き家などを、どこでも何度でも借りて住むことができます。

 

生活に必要な家具・家電などは備え付けで、月会費は光熱水費込み。住んでいたマンションを解約し、毎週全国のADDressを転々と多拠点生活を送る方や、自分に合った移住先を見つけるためにお試し移住として利用する方も。

 

さらに、ホテルにも定額制が増えています。たとえば、三井不動産ホテルマネジメントは2種類の「サブ住む」を運営しています。

 

1つ目は「HOTELどこでもパス」。三井ガーデンホテルなど系列38ホテルのどこにでも、上限泊数まで定額料金で泊まれるものです。利用期間45日間で30泊までが21万円、90日間で60泊が42万円の固定使用料を払うと、スタンダードホテルが1泊500円で泊まれます。

 

2つ目の「HOTELここだけパス」は1つのホテルに定額で泊まれるものです。料金はホテルによりますが、30泊だと10万〜30万円。定期的にリネン交換や清掃が入るので、家事から解放されるのもうれしいところです。

 

こうした背景には、コロナ禍で浸透したリモートワークがあります。ヤフーは社員が日本全国どこに住んでどこで働いてもよい「どこでもオフィス」制度を導入しました。出社に縛られないなら、住居の選択肢は格段に広がります。

 

いっぽう、コロナ禍で大打撃を受けた宿泊業が、新たな業態を模索した1つの結果でもあるでしょう。

 

コロナ禍は働き方を大きく変えました。サブスク別荘や泊まり放題というサービスは旅行の手段というだけでなく、暮らし方を見直すきっかけになるかもしれません。

 

【PROFILE】

荻原博子

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある

経済ジャーナリスト

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