腸内環境のバランスを崩す薬12 下剤、胃腸薬、抗菌薬の多剤・長期服用に注意を
画像を見る 薬のリスクを知ろう

 

■多くの種類の薬を服用している人は注意

 

薬が人の健康に果たしている役割は大きい。しかし、どんな薬にも副作用はある。これからは腸内環境のバランスを崩す副作用も考えることが不可欠だ。

 

「特に、多剤服用は腸内環境のバランスにとって要注意です。今回の研究では、対象者のうち、10種類以上の薬剤を服用していた人が14%も。また、腸内細菌は一時的にバランスを崩しても元の状態に戻ろうとする力がありますが、長期の服用には特に気をつけたほうがいいでしょう。多剤服用や長期服用で、免疫の働きをサポートする菌が減少するだけでなく、感染症を引き起こす病原菌や、抗菌薬が効きにくい薬剤耐性菌が増加するなどが明らかになりました。病気を治すために飲んでいる薬が腸内環境のバランスを崩し、別の病気を招く可能性も。今、飲んでいる薬が本当に必要か見直すことも重要です」

 

腸内環境のバランスを崩すリスクがある主な薬は次のとおり。

 

■胃腸薬(胃酸分泌抑制薬)

 

【プロトンポンプ阻害薬(PPI)】

成分:オメプラゾール/ラベプラゾールナトリウム/ランソプラゾール/エソメプラゾールマグネシウム水和物

リスク:胃酸の分泌に関わるプロトンポンプと呼ばれる酵素の働きを妨害し、強力に胃酸の分泌を抑制。胃酸で死滅する口腔内細菌が腸まで届いてしまう。

 

【カリウムイオン競合型アシッドブロッカー】

成分:ボノプラザンフマル酸塩

リスク:PPIよりも強力かつ持続的に胃酸の分泌を抑制する。

 

■糖尿病治療薬

 

【αグルコシダーゼ阻害剤】

成分:ボグリボース/アカルボース/ミグリトール

リスク:小腸での糖の消化・吸収を抑制したり、ブドウ糖を作る酵素の働きを抑制する。大腸にすむ糖を好む腸内細菌が増えていくことで腸内環境のバランスを崩す。

 

■抗菌薬

 

【全般】
リスク:病原菌だけでなく、害のない細菌まで死滅させる。腸内細菌が減り、バランスが悪化する。

 

■便秘薬

 

【浸透圧性下剤】

成分:酸化マグネシウム/硫酸マグネシウム水和物/マクロゴール4000

リスク:腸内で水分を吸収し便を軟らかくし、腸のぜん動運動を促進するが、腸の粘膜にすむ腸内細菌も一緒に吸収される可能性がある。

 

食事や喫煙、お酒などの生活習慣で“菌ケア”をしていても、薬の及ぼす影響も考えないと、本末転倒だ。腸のために、日々のケアに加え、薬を飲みすぎてはいないかにも注意しよう。

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