(提供・沖縄県警)
2016年の大麻取締法違反による摘発人数が過去10年で最多となることが4日までに、沖縄県警暴力団対策課のまとめで分かった。今年7月末時点での摘発人数は58人で、過去10年間で最も多かった2015年の摘発人数57人を7月末時点で既に上回っている。違法薬物の密輸入事犯も多発傾向にあり、社会問題となった危険ドラッグの取り締まりが厳しくなったため、薬物常用者が大麻や覚醒剤に回帰する動きが強まっているとの見方もある。
暴対課のまとめによると、過去3年の大麻取締法違反での摘発数は13年が24人、14年が41人、15年は57人。16年は7月末時点で58人で、過去10年で最多だった15年の同期比28人を2倍以上上回っている。覚醒剤や麻薬、指定薬物などを含めた薬物事犯総摘発人員も114人で前年同期の85人を大きく上回っている。
今年7月19日には、那覇市久茂地の国際通り付近でパトカーに追跡されていたレンタカーが暴走し、一般車両やパトカーと衝突。自転車にも接触し、男性にけがを負わせた。レンタカーを運転していた大阪府の男(47)は、那覇署のその後の調べで覚醒剤を使用してレンタカーを運転していた疑いが浮上し、覚せい剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕された。
15年の覚醒剤や麻薬などを含めた薬物事犯の総摘発人員は167人。県警は16年に入り、これまでにない速いペースで摘発人員が増加していることから、県内における違法薬物のまん延に警戒を強めている。
違法薬物の密輸入事犯も多発傾向にある。今年5月には国内過去最大量の約600キロの覚醒剤密輸未遂事件が発生したほか、大麻、違法薬物ケタミンなどの密輸事件も相次いで発生するなど、沖縄を“中継基地”にした取引も横行しているとみられる。
県警は対策として(1)薬物供給網の遮断(密売人、暴力団の取り締まりなど)(2)薬物需要の根絶(乱用者の取り締まりなど)(3)広報啓発活動(学校での薬物乱用防止教室など)(4)関係機関との緊密な連携(税関、11管、麻薬取締部などの取締機関との連携など)―を掲げ、取り締まりを強化している。
(当間詩朗)