その霊能力のために、楽屋では霊視を求める先輩芸人たちが行列をつくることもあるという、吉本興業所属の“霊がよく見える”芸人・シークエンスはやとも。『ポップな心霊論』は、そんな彼が人生で見てきた霊たちや霊現象などを紹介していくコラム連載!
【「マスクしろ」おじさんが劇場の喫煙所に出没します】
相方と、ある劇場の喫煙所で待ち合わせをしたときのこと。
早めに着いてしまったので、ベンチに座って待つことにしました。
ほかには誰もいなかったんですけど、しばらくすると中年の男性が現れました。その人は、いつもこの喫煙所に出没する「マスクしろよおじさん」。
マスクをはずしたままにしている人がいると、すぐに「マスクしろよ!」と怒鳴り出すおじさんなんです。
喫煙所に入ってきたおじさんは、僕のほうを見るなり、「おい、マスクしろよ!」と怒鳴ってきました。
でも、そのとき僕はちゃんとマスクしてたんですよ。だからほかに誰かいるのかなと周りを見回すと、後ろに男性の幽霊が立っていました。
もちろんマスクはしていないので、おじさんは幽霊だとは知らずに怒っているようでした。
気付かせてあげたほうがいいかなと、ちょっと咳払いをしてみたら、一瞬おじさんが僕のほうを見ました。
視線はすぐに後ろのほうに戻ったんですけど、その瞬間おじさんがぎょっとした顔になったんです。たぶん、視線をはずした一瞬で幽霊が見えなくなって、びっくりしたんだと思います。
青ざめて去っていったおじさんが、ちょっと気の毒でした(笑)。
【PROFILE】
シークエンスはやとも
1991年生まれ。吉本興業所属。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)などで見せた芸能人の霊視も話題に。自身のYouTubeチャンネルでも心霊話を配信中。昨年8月には本連載をまとめた初の著書『ヤバい生き霊』(光文社)が発売された。