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今や日本人の国民病ともいえる糖尿病。

 

動脈硬化や腎臓病、アルツハイマー型認知症など、さまざまな疾患につながることが知られているが、その大きな原因のひとつに「体の糖化」があると昭和大学医学部の山岸昌一教授は指摘する。

 

「『糖化』とは体内でタンパク質に糖がくっつくことにより、タンパク質が劣化する現象のこと。糖化タンパク質は体の中でもはや使いものにならなくなった燃えかすのような物質で、正式にはAGE(終末糖化産物)といいます。いわゆる“体のコゲ”です」

 

血糖値が基準値以上に上がると、体内に断続的にAGEを発生させ続けることになり、これがまた血糖値を上げてしまうというのだ。

 

さらに、この厄介なAGEは老化の原因にもなるという。

 

「体内でタンパク質の働きが落ちると、臓器にも悪影響が及びます。私たちの体内ではさまざまな化学反応が起こっていろんな臓器が適切に機能しているのですが、その化学反応を媒介しているのは酵素です。酵素はタンパク質からできているため、酵素が糖化するとその働きが悪くなってしまうのです」

 

糖化が進むと、血管や骨、心臓、脳など全身にその影響が及び、さまざまな病気の原因になる。

 

■AGEがもたらす体への悪影響

 

〈認知症〉:老人斑(アミロイドβタンパク質の凝集)促進、神経原線維変化促進、酸化ストレスの増大など
〈見た目の老化〉:黄ぐすみ、くすみ、たるみ
〈皮膚の老化〉:皮膚コラーゲンの硬化、代謝異常
〈弾性線維の硬化〉:大動脈、腎臓皮質などの機能低下
〈動脈硬化〉:粥状化の進展
〈不妊〉:受精率の低下
〈骨粗しょう症・骨関節症〉:骨質の劣化、骨の脆弱化、骨芽細胞・破骨細胞の活性異常
〈糖尿病合併症〉:神経障害、網膜症、腎症

 

※『やせる!肌も血管もキレイになるレモン若返りレシピ』より

 

そんなAGEだが、実は体内で発生するだけでなく、食事から取り込まれていることもわかった。

 

「AGEを多く含む食べ物というのは、てんぷらやから揚げ、焼き肉のように、タンパク質に直接強い火を加えて調理したものです。AGEをため込むような食事を続けていると、たとえ今は健康であっても、徐々に骨がもろくなったり、血管がボロボロになってしまったりということが起こりえます」

 

中高年以降の世代にとって、筋肉を維持するためにも大切なタンパク質が、取り方によっては体に害を及ぼすかもしれないのだ。

 

■レモンのさまざまな働きがAGE値を抑える切り札に

 

山岸先生によれば「AGEはコゲですから、焼いたり揚げたりといった調理法ではなく、ゆでたり蒸したりといった調理法で値を下げることができる」という。たとえば、同じギョーザでも焼きギョーザでは6個で4190AGEに対し、水ギョーザは1625AGEと、半分以下の値になるというのだ。

 

とはいえ、焼き肉やてんぷらを一切食べないのは現実的ではない。何かいい手はないのだろうか。

 

「AGE値を抑えるのにおすすめしたいのがレモンです。レモンには、活性酸素を除去するほか、代謝促進や抗酸化作用、降圧作用などさまざまな健康効果が期待できるのですが、実は糖化を抑える働きも抜群なのです。焼き肉やから揚げなどAGE値の高い料理の場合、下ごしらえの段階でお肉を15~30分ほどレモン汁に漬けておくと、そのまま調理したときに比べてAGE値を40~60%も抑えることができます」

 

これは、レモンに含まれるクエン酸が糖とタンパク質の結合を抑えてくれるからだそうで、あらゆる肉料理に応用できる。

 

たとえばとんかつなら、肉をレモン汁に20~30分漬けて下処理することで、AGE値が約60%も減少するのだという。

 

「ほかにもブロッコリースプラウトやまいたけには、AGEを吸収しにくくしたり、作りにくくしたりする働きがありますので、積極的に食べてほしい食材です」

 

また、レモン汁は酢の物に入れたり、食べるときにかけたりするのもよいそう。

 

「食事にレモンやお酢が入ると、腸の動きがゆっくりになります。食べ物がゆっくりと消化、吸収されると血糖値が上がりにくくなりますから、体内でAGEが作られるのを抑えることもできます」

 

レモンには唾液の分泌を促す働きもあるので、食欲増進にもつながるし、腸の働きを活発にする作用もあるので便秘解消も期待できそうだ。さらに、レモンのスッキリとした香りにはリラックス効果があり、食事そのものだけでなく、気持ちを切り替える作用も。

 

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