「転院待ちで1週間」大阪の医療従事者語る医療崩壊の現実
画像を見る 救急搬送難航を受け府内に設置された待機ステーション(写真:時事通信)

 

■「運ばれてきたらすでに重症だった」

 

「先日も『軽症・中等症です』といって運ばれてきたのに、実はすでに重症だったというケースがありました。

 

搬送先がぜんぜん見つからなかったのかもしれませんが、うちのような病院に重症患者を運ばれると本当に困ります。正直、『だまされた!』という思いが強いです。

 

今は夜勤を看護師3人態勢でやっていますが、これをほかの病院の人に言うと『重症者が複数いるのに、あまりにも少なすぎる!』と驚かれます。つまり、それだけむちゃな状況ということです。現場はみな、疲弊しています。

 

もしこのまま放っておけば、入院患者がさらに重症化してしまう可能性もあります。一刻も早く、今いる重症患者の方々を適切な場所へ転院させたいのですが……」

 

しかし、重症病床への転院は“80人待ち”ともいわれている。西岡さんも、実際にその壁に直面したという。

 

「うちで入院中に重症化した患者さんも、転院するまでには時間がかかりました。なかには5日や1週間ほどかかってしまったケースもありました。

 

ほかの軽症・中等症の病院でも同じように、重症患者を転院させられずに困っているところはあるでしょうね。

 

みんな慣れない人工呼吸器での治療を始めたものの、『これからいったいどうすればいいんだ』と頭を抱えていると思います。

 

本来、入転院などをコントロールする『フォローアップセンター』もすでにパンク状態。うまく機能していません。

 

そんななかでどんどん重症患者さんの入院要望件数が増え続けると、嫌でも“優先順位”をつけざるをえなくなってくるのではないでしょうか……」

 

「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載

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